2018 Fiscal Year Research-status Report
アポトーシス特異的ホスファターゼシグナルの解明とそれを標的とした創薬開発
Project/Area Number |
18K06197
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
岩崎 隆宏 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 研究員 (40542999)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | カスパーゼ / チロシンホスファターゼ / 脱リン酸化 / アポトーシス / タンパク質アレイスクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
がん等の疾患により異常化した細胞は、アポトーシス特異的なシグナル伝達経路が活性化することで自律的な細胞死を起こすことが知られている。これまでに我々は脱リン酸化酵素の一種であるミオシンホスファターゼがアポトーシス実行因子であるカスパーゼ3による切断を受け、アポトーシス誘導性のリン酸化シグナルが増強されていることを見出している。このためアポトーシスシグナルカスケードにはカスパーゼを介した未知の情報伝達経路が存在している可能性が高い。本研究ではカスパーゼにより切断されるホスファターゼ群を網羅的に同定し、アポトーシス特異的な未知の脱リン酸化シグナルや、その下流因子の解析を行うことを目的としている。 そこで2018年度はヒトゲノムにコードされているチロシンホスファターゼ(PTP)をコムギ無細胞タンパク質合成系により網羅的に合成することにより、ヒトPTPタンパク質アレイの構築を行なった。構築したタンパク質アレイにカスパーゼ3を加えin vitroでの切断スクリーニングを行なった結果、複数のPTPがカスパーゼ3による切断を受けることが新規に明らかになった。さらに、これらのPTPを発現させた培養細胞にアポトーシスを誘導することで、アポトーシス細胞内で切断を受けているPTPの同定に成功した。この新規カスパーゼ3標的PTPは切断を受けることでその局在が変化することから、アポトーシス時における切断は脱リン酸化活性に影響を及ぼしている可能性が高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標であるPTPアレイの構築および、それを用いたカスパーゼ基質探索はすでに完了している。また、培養細胞を用いた2次スクリーニングにおいても複数の候補分子を同定しており、概ね計画通りである
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Strategy for Future Research Activity |
同定した候補PTPについてカスパーゼ切断型変異体の細胞導入やRNAiを行うことで、そのPTPの切断がアポトーシスに及ぼす影響を検証する。また、候補PTPの下流タンパク質との相互作用を生化学的に解析する。
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Research Products
(4 results)