2018 Fiscal Year Research-status Report
共生の宿主植物が微生物パートナーの不正を防ぐ仕組みの解析
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18K06282
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
中川 知己 基礎生物学研究所, 共生システム研究部門, 特別協力研究員 (90396812)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 根粒菌 / 共生 / 窒素固定 / cheating / マメ科植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
マメ科植物は、大気中の窒素ガスをアンモニアに変換する窒素固定活性を持つ根粒菌と共生することで、窒素栄養の乏しい土壌でも旺盛に生育できる。根粒菌は窒素固定の見返りに大量の光合成産物を宿主から受け取るが、自然界には窒素固定せずに光合成産物を受け取る根粒菌の不正(cheating)が知られている。宿主がこのような根粒菌の不正にどのように対応するかについては、世界的にもほとんど研究が行われていない。我々はマメ科のモデル植物であるミヤコグサにおいて、窒素固定遺伝子を破壊して人工的に作出したcheating根粒菌が、根粒内で過敏感細胞死様の応答により抹殺される現象を発見した。また申請者は、cheating根粒菌を抹殺するメカニズムが破綻したミヤコグサpink4変異体を単離している。 本年度は次世代シーケンサーによるpink4変異体の表現型の原因となる遺伝子の同定を試みた。解析の結果、相補実験による確認が可能なレベルに原因遺伝子の候補が絞り込まれている。現在は相補実験による確認を順次進めており、おそらくは本年度中に原因遺伝子を決定できると考えている。 またpink4変異体の表現型をヒントに、野性型植物におけるcheating菌の抹殺メカニズムの詳細な解析も続けており、抹殺が根粒単位ではなく、1個の根粒の中に誠実な根粒菌とcheating菌が混在した場合でも、cheating菌が感染した細胞だけで生じることを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定どおり次世代シーケンサーによる遺伝子の絞り込みが成功しており、変異が見つかっている遺伝子も候補として妥当と考えられるタンパク質をコードしている。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り相補実験を進めて原因遺伝子を同定する。また、原因遺伝子が決定された後は、細胞内局在やタンパク質のドメイン解析などを行う予定である。
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Causes of Carryover |
年度末の出張に関して、事前に計算した旅費の額と実際の額に少額の差が生じたため。少額なので、次年度の物品購入などに充てる予定である。
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Research Products
(2 results)