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2019 Fiscal Year Research-status Report

Exploring the effect of ancient rivers in the Seto Inland Sea on the wood mouse genome on islands

Research Project

Project/Area Number 18K06395
Research InstitutionFukuyama University

Principal Investigator

佐藤 淳  福山大学, 生命工学部, 准教授 (80399162)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2022-03-31
Keywordsアカネズミ / 瀬戸内海島嶼 / 遺伝的浮動 / ミトコンドリアDNA / GRAS-Di
Outline of Annual Research Achievements

広島県西部島嶼(江田島、倉橋島)、および本州(呉)、四国(愛媛県西条)よりアカネズミの試料を収集し、ミトコンドリアDNAと核DNAの分析を行った。具体的にはこれまでに瀬戸内海島嶼周辺から収集した試料も合わせて、ミトコンドリア Dloop領域について31個体、チトクロームb遺伝子について72個体の分析を行い、分子系統解析を行うことで、瀬戸内海島嶼のアカネズミは、四国よりも本州側のアカネズミと近縁であるという結果を得た。また、次世代シークエンサーを用いた核DNA多型の分析手法であるGRAS-Diを96個体について分析し、Structure解析を行ったところ、瀬戸内海島嶼周辺のアカネズミを6つの集団に類別することが最適であると推定された。その6つの中で、本州に近い、向島、江田島、倉橋島のアカネズミは本州と同じクラスターに含まれた。さらに、四国の愛媛、徳島、高知のアカネズミは本州と同じクラスターに含まれた。一方で、物理的には本州に近い上蒲刈島・下蒲刈島のアカネズミは、本州のアカネズミとは異なるクラスターに含まれた。大三島、伯方島、大島はおおかた類似した遺伝構成を持ち、本州・四国から分化していたが、大島にのみ本州・四国型の要素が10%程度見られた。因島、大崎上島、大崎下島はそれぞれ独自の遺伝構成を持つことが示された。生口島は因島と共通の遺伝要素でおおかた占められていたが、大三島・伯方島・大島の要素が20%程度見られ、本州・四国の要素も10%程度見られた。以上のことから、島では遺伝的浮動の影響が強く、遺伝的構成が変化しやすい一方で、本州や四国のような大きな島では祖先型の遺伝的構成が維持される傾向が示唆された。また、島ではミトコンドリアDNAは核DNAよりも速く遺伝的分化が起こることが確認されると共に、両マーカー共に島における独自の進化メカニズムが推察された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

R2年度末までにミトコンドリアゲノムの分析をおおかた終了するという予定の中、2つの領域のマーカーの分析を終えた。このミトコンドリアゲノム分析については、若干の遅れが見られるが、R2年度中にゲノムを分析できるものと考えている。一方で、次世代シークエンサーを用いた核DNAの分析については、R3年度末に完了予定であったが、昨年度に成果を得た。したがって核DNA分析については予定よりも大幅に早い段階で分析結果が得られたと言える。

Strategy for Future Research Activity

R元年度は核DNAの分析を先に行ったので、今後はミトコンドリアゲノムの分析に注力したいと考えている。これまでの分析により、瀬戸内海島嶼におけるアカネズミのミトコンドリアDNAと核DNAの進化の様相が異なることが示唆されている。この相違をより明確にするためにもミトコンドリアゲノムの分析は重要である。それとともに、主に四国を中心に新しい場所でアカネズミの採集を行いたい。ミトコンドリアゲノムの分析が順調に進み次第、核DNAの分析もさらに進めたい。具体的には、核DNAの分析手法をより拡充し、MIGseq法など新しい多型分析手法で、R元年度にGRAS-Diにより得られた仮説の検証を行っていきたい。これらのデータが得られた後に、計画書で仮説を提示した瀬戸内海形成過程で役割を果たした古代河川とDNA多型の関連を調査する。これらの作業により、瀬戸内海島嶼が形成された過程を島に生息するアカネズミの類似性の面から明らかにしたい。R2年度には、これらの成果を国内学会で、R3年度には、国際学会で公表する予定である。

Causes of Carryover

昨年度までのフィールド調査では十分な試料が集まらなかったため、翌年度のフィールド調査予算に割り当てたいと考えている。

URL: 

Published: 2021-01-27  

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