2019 Fiscal Year Research-status Report
神経細胞の軸索終末においてエンドソームに由来する小胞の役割
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18K06473
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
森 靖典 同志社大学, 研究開発推進機構, 准教授 (80443042)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 神経 / シナプス小胞 / エンドソーム / SNARE / アクチン / 軸索前終末 / ライブイメージ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続き神経細胞の軸索前終末におけるエンドソームSNAREタンパク質の1つであるSyntaxin-7を含む小胞の解析を行った。まず、Syntaixn-7がシナプス小胞へ含まれているのかについてライブイメージにより詳細に検討した。その結果、Syntaixn-7を含む小胞は一般的なシナプス小胞と同様に活動刺激に依存的なリサイクリング応答がシナプトブレビンを切断するテタヌス毒素により完全に消失することや、Syntaixn-7を含む小胞の小胞内pHは一般的なシナプス小胞の小胞内pHに近い値であることが明らかになった。これらの結果から軸索前終末においてSyntaxin-7はシナプス小胞に存在していることが示された。またラット脳から精製したシナプス小胞画分を材料として、定量的なイムノブロットによりシナプス小胞膜に存在するSyntaxin-7の1小胞あたりの平均モル数、すなわちコピー数を算出した。その結果、1つのシナプス小胞あたりSyntain-7は約0.14存在することが明らかになった。この結果はSyntaxin-7が小胞に1コピー存在すると仮定するとおおよそ10-15%程度のシナプス小胞がSyntaxin-7を含んでいることを示唆している。 さらにシナプス小胞のリサイクリングにおけるSyntaxin-7の役割を明らかにするために、ドミナントネガティブ型のSyntaxin-7を神経細胞内に発現させて内在性Syntaxin-7の機能を阻害したところ、高頻度刺激の条件ではアクチン重合化を阻害した時と同様にシナプス小胞の補充に遅れが生じていることが明らかになった。 以上の結果から、活動刺激依存的なリサイクリングに関与しているシナプス小胞群は均一な小胞の集まりではなく分子組成の異なるシナプス小胞が存在しており、これらのシナプス小胞は補充メカニズムが異なっていることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初の計画通りSyntaxin-7を含む小胞がシナプス小胞であることをライブイメージングで詳細に検証し、かつシナプス小胞のリサイクリングにおけるSyntaxin-7の役割について明らかにすることに成功した。また当初の計画には存在しなかったが生化学的な手法でシナプス小胞におけるSyntaxin-7のコピー数を定量することに成功した。これらの研究の成果は当初の研究の目的に対して概ね達成していたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の進捗状況は、上記の通り順調である。引き続き当初の計画通りに研究を推進していくことに注力する。一方で、これらの結果をまとめた論文投稿に関しては準備中の状況であり早急に対応する必要がある。
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Research Products
(2 results)