2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K06764
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
大倉 一人 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (00242850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田端 厚之 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 講師 (10432767)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | cytolysin / 感染症 / 生体膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 2-nitroimidazoleに1,3-cyclopentenedioneやtrifluoromethylを付加しTX-2036誘導体を作成。1,3-cyclopentenedione S-体(TX-2044,-2031,-2037)はR-体(TX-2043,-2030,-2036)より高放射線増感能を示した。Trifluoromethyl R-体TX-2045がS-体TX-2046より高増感能を示した。R-体TX-2030とS-体TX-2031を比べても配座エネルギーに差異はなく、他誘導体もR-,S-体で配座エネルギーに差異はなかった。R-体TX-2030、S-体TX-2031も配座依存的疎水性変化は確認できなかった。他誘導体もR-,S-体で疎水性度に差異はみられなかった。ESPはTX-2030,-2031ペア、TX-2036,-2037ペア、TX-2043,-2044ペアのうち増感能の弱い方に1,3-cyclopentenedioneに極小負フィールドが発生した。 2) Chiral-2-nitroimidazole TX-2036誘導体は立体異性(R-,S-体)依存的にEGF受容体kinase(EGFR-tyk)を阻害した。EGFR-tykはリガンド結合ポケットを有しTX-2036誘導体の結合を確認した。R-体(TX-2043, -2030, -2036)がS-体(TX-2044, -2031, -2037)と比べ高いEGFR-tyk阻害を示した。標的アミノ酸残基はR-誘導体ではEGFR-tyk Lys721およびThr766 残基であり、S-誘導体では標的アミノ酸残基が個々で異なった。 3) CDCは4ドメインで構成されコレステロールを受容体として認識した。CDC単体が標的細胞膜のコレステロールに結合し膜上にオリゴマーを形成後、オリゴマー構造の変化を経て膜を貫通した。Streptococcusが産生する一部のCDCは多機能性を有した。CDC遺伝子はStreptococcus、Clostridium、Listeriaなど多くのグラム陽性菌に分布するが、多機能性CDC遺伝子はStreptococcusの2グループStreptococcus mitis、Streptococcus pseudopneumoniaeに存在した。多機能性CDCは5ドメインで構成され、追加ドメインが通常ドメインのN末端に存在した。多機能性CDCは膜コレステロール、ヒトCD59を受容体として認識した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題において使用しているウェット系の実験手法は、これまでの研究過程で十分な運用実績のある遺伝子操作、細胞培養、タンパク質生成・修飾などであり、実施過程で不具合が生じにくい。また、各種ライブラリーも整備されてきており、柔軟迅速に対応出来る。ドライ系の実験手法である分子力学法、分子動力学法、分子軌道法、ホモロジー解析、ドッキング解析、キャビティー解析なども整備されており、研究の進捗に応じてきめ細かく対応可能である。共同研究者、研究協力者との定期的な打ち合わせによって得られたデータを開示して議論することで、問題点や研究の進め方が明確にできた。これらの理由から概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1) TX-2036誘導体はTX-1877とTX-1123を組み合わせた骨格をもつ、そのためTX-1877由来の性質とTX-1123由来の性質を併せ持つ多機能性化合物としての発展が期待できる。副作用の少ない薬剤ではエンタルピーがエントロピーに比べて優位であることが報告されており、自由エネルギー解析を取り入れた多機能性TX増感剤の設計を進める。
2) ヒト咽頭口腔内の常在細菌の一種である Streptococcus anginosus subsp. anginosus(SAA)には溶血を示すサブグループが存在するが、これらの株はペプチド溶血因子であるstreptolysin S(SLS)の産生に関与する遺伝子領域をタンデムに有し、かつ、いくつかの遺伝子群が寄り添って存在する。SAAが産生するSLSが細胞障害因子として機能発現する際に他の遺伝子領域由来の因子が果たす役割を解析する。例えばP-糖タンパク質様の輸送担体として機能する可能性のある領域について解析を進める。
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Research Products
(3 results)