2018 Fiscal Year Research-status Report
Mast cell-regulated cytochrome P450 metabolism and its mechanism in allergic diseases
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18K06772
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
谷野 公俊 徳島文理大学, 薬学部, 准教授 (90236703)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 一酸化窒素 / アレルギー疾患 / シトクロムP450 / 肥満細胞 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満細胞欠損(-/-)マウスおよびその野生型(+/+)マウスをovalbumin感作すると、-/-マウスではアレルギーで抑制されるシトクロムP450(CYP)活性は対照群レベルまで完全に回復した。再感作-/-マウス肝臓内では、遊離型一酸化窒素合成酵素(iNOS)、IFN-γおよびTNF-α mRNA発現はそれぞれ約20倍、15倍と3倍と顕著に上昇していた。初感作および再感作ICRマウス肝組織全体および肝細胞局在するiNOS活性を調べると、コントロール群レベルを維持していた。このiNOS活性は、肝臓でのiNOS、IFN-γおよびTNF-α mRNA発現量誘導の結果と一致しないことが分かった。さらにアレルギー誘発ICRマウス肝内に局在する肥満細胞は、コントロールレベルで変化はなかった。以上の結果から、Kupfferや肝臓の肥満細胞が分泌する一酸化窒素(NO)やサイトカインではなく、肝臓以外に存在する肥満細胞放出NOが血液を介して肝臓に移行後、CYP1A2、CYP2C、CYP2E1およびCYP3A代謝を抑制するメカニズムが示唆された。 多くの報告をみると、疾患発症による免疫応答、特に炎症性サイトカインが薬物代謝酵素のタンパク発現や酵素活性を抑制すると考えられている。アレルギー疾患に関する薬物動態変動では、疾患由来のNOとCYPの直接的な相互作用が根源であるので、学術的に意義のある新たな発見と考える。さらに本研究成果をもとに、血中NO濃度は薬物動態変動の予測に有用な指標と推測される。現在、臨床現場でNO測定はアレルギーの重症度評価に利用されていることを考えると、その測定データは併用薬を含めたアレルギー(花粉症や食物アレルギー等)患者の個別治療に有益な情報をもたらすと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画とおり、順調に研究成果が得られており、すでに学会発表および著名な科学雑誌に論文掲載されている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画(1次および2次感作)に従い、研究を順次に実施する。しかし、I型アレルギーは長期に及ぶ疾患であるため、感作期間を延長した疾患モデル(~15次感作)を作製する必要がある。長期的な感作モデルで得られる研究成果は、罹患者および学術的により有用な知見を与える。
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Research Products
(3 results)