2019 Fiscal Year Research-status Report
Studies on mitochondrial long noncoding RNA
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18K06935
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
本間 好 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60192324)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 非コードRNA / 呼吸鎖複合体 / 活性酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
正常および代謝性疾患モデルマウスの肝細胞ミトコンドリアに存在するncRNAをRNA-seq法にて網羅的に解析し、得られた全ての塩基配列情報についてアノテーション等を付記しデータベース登録用データとした。同じ遺伝的バックグラウンドを持つ正常C57BL/6とC57BL/6-NASHとで結果を比較し、発現量がNASH特異的に顕著に増減するncRNAクローンを選定した。また、正常マウスとC57BL/6-ob-/ob- またはC57BL/6-db-/db-との比較を行った。得られた結果から、ミトコンドリア機能調節やNASH病態に関連すると考えられる63クローンを選定した。現在、siRNAを用いたノックダウン法を用いて、細胞増殖、細胞死、ミトコンドリア数、ATP産生およびROS産生に与える影響を評価している。一方、部分精製したミトコンドリアタンパク質複合体をin vitroでRNase処理する感受性試験により、複合体の形成にRNAが関与する可能性を検討した。ネイティブ電気泳動法を用いた定量的解析から、RNase処理により呼吸鎖複合体Iおよびβ酸化複合体が顕著に減少することが判明した。この結果はタンパク質複合体の構成にncRNAが関与する可能性を示唆した。免疫沈降法により呼吸鎖複合体Iを精製し、その標品に含まれるncRNAをRNA-seq法にて網羅的に解析し、ncRNA分子種の同定を進めている。結果を踏まえて、siRNAノックダウン法を用いてミトコンドリア機能を担うタンパク質複合体の形成に特定ncRNA分子種が関わる可能性を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は概ね順調に進行しており現時点での問題点や変更点は無い。ミトコンドリア内ncRNAの網羅的解析、およびミトコンドリアタンパク質複合体に結合する特異的ncRNAの検出と同定、の2柱で推進している。ncRNA網羅的解析に関しては、配列情報がいつでも登録できる状態になっている。また、正常と代謝疾患モデルとの比較も順調に進行している。一方、ミトコンドリア機能を担うタンパク質複合体のRNase感受性試験から呼吸鎖複合体Iの構成にlncRNAが関与する可能性が示され、呼吸鎖複合体I精製標品に含まれるncRNAの網羅解析を行った。現在、解析結果の精査を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
正常および3種の代謝疾患モデルマウスの肝ミトコンドリア画分に含まれるncRNAをデータベースに登録する。正常および代謝モデル間の比較においてミトコンドリア機能の制御に密接に関連するncRNAを同定する。siRNAを用いたノックダウンによる細胞増殖、細胞死、ATP産生およびROS産生、脂肪細胞の分化プロセスや脂肪代謝系への影響を観察する。一方、呼吸鎖複合体Iの複合体構成に特異的なncRNAが関与するかどうかを評価する。siRNAを用いたノックダウンにより特異的なncRNAが呼吸鎖複合体Iのどのような機能を制御しているのか、また、活性酸素の生成を促進するのか、などについて検討を進める。得られた結果から、ミトコンドリア機能の発現や制御におけるncRNAの役割を考察する。
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Causes of Carryover |
次年度と合算して物品費として使用する。
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