2020 Fiscal Year Research-status Report
Induction of a cyst-like form of Trypanosoma cruzi
Project/Area Number |
18K07092
|
Research Institution | Iryo Sosei University |
Principal Investigator |
奈良 武司 医療創生大学, 薬学部, 教授 (40276473)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | クルーズトリパノソーマ / シャーガス病 / 休眠 / シスト形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
クルーズトリパノソーマが引き起こすシャーガス病は、感染を維持しながら長い無症状期(数年~数十年)を経て慢性期へと移行し最終的に患者を死に至らしめる。しかしながら、なぜ長期間排除されずに感染し続けるのかは全くわかっていない。本研究は、申請者らが誘導に成功した“シスト”について、その内部構造、代謝基盤、誘導因子等を種々の解析を用いて明らかにし、クルーズトリパノソーマの「休眠」というこれまで未知の現象が慢性シャーガス病の原因であることを示すことを目的とする。 これまでの研究から、シスト形成の過程で、最初に原虫内部に空胞が形成されそれを取り囲むシスト壁で核を含むオルガネラの分裂が複数回起きたのちに、分裂したオルガネラが集合して娘細胞が形成され、それがシスト内腔に遊離することが明らかとなった。また、メタボローム解析によって、ATP/ADP比が著しく低下することを見出し、シストにおいて代謝活性が低下していることが強く示唆された。さらに、ConAは微小管タンパクであるチューブリンα/βサブユニットおよび原虫の主要なシステインプロテアーゼ、クルジパインcruzipainと結合することが強く示唆された。 ConAは、α-D-マンノシル基およびα-D-グルコシル基に特異的に結合する。一方、生体内にはさまざまな糖鎖が存在しており、それら糖鎖を介したシスト誘導については明らかとなっていない。そこで本年度は、他の糖鎖に結合するレクチンのシスト誘導効果について解析した。各種レクチンを原虫培養液に添加したところ、ConAのみがシストを誘導することが明らかになり、他の糖鎖(Gal/GalNAc、フコース、GlcNAc、シアル酸)に対するレクチンはシストを誘導しなかった。以上から、シスト誘導には末端マンノースあるいはグルコースをもつ糖鎖とレクチンとの結合が必要であることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
大学内での管理・運営業務のエフォートが増えたことで、日常的に研究に割く時間が大きく減少した。さらに、新型コロナウイルスの流行による研究活動の自粛と遠隔授業を含む教育業務の増加が大きく影響し、目覚しい進展が得られなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
大学内での管理・運営業務のエフォートの増加および遠隔授業を含む教育業務の増加が研究の進展に与える影響は大きいものの、本年度の苦い経験を生かして研究エフォートを増やしていきたいと考えており、研究協力者の助力を得ながら研究を遂行することで最終的には研究目的を達成できると考えている。また、本年度は、年度単位の経費使用を遵守しつつも無駄を極力排除した結果、次年度以降に当該基金を計上することができた。次年度以降は、研究費の無駄な支出を排除しつつ柔軟に運用する予定である。
|
Causes of Carryover |
大学内での管理・運営業務のエフォートの増加および遠隔授業等を含む教育業務の増加により、研究のためのエフォートが減少したこと、および年度単位の経費使用を遵守しつつも無駄を極力排除した結果、次年度以降に当該基金を計上した。 本年度の苦い経験を生かして研究エフォートを増やしていきたいと考えており、研究協力者の助力を得ながら研究を遂行することで最終的には研究目的を達成できると考えている。次年度以降は、研究費の無駄な支出を排除しつつ柔軟に運用する予定である。
|
Research Products
(3 results)