2019 Fiscal Year Research-status Report
尿路病原性大腸菌感染症に対する粘膜ワクチン候補物質の安全性に関わる基礎研究
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18K07098
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
倉園 久生 徳島大学, 研究支援・産官学連携センター, 教授 (90186487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 栄樹 帯広畜産大学, 動物・食品検査診断センター, 准教授 (40514708)
奥村 香世 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (70415561)
山本 新吾 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80322741)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 尿路病原性大腸菌 / 尿路感染症 / USP / 免疫学的検出法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では抗USP抗体を作出し、高感度なELISA法を構築することを目的とした。 【材料と方法】USP蛋白(以下、USP)を大量発現する組換えEscherichia coli株(usp+orfU1/pET30a/BL21)の培養破砕上清から、Ni-キレーティングカラムを用いて精製USPを獲得した。精製USPを家兎に皮内投与し、抗USP血清を獲得し、さらに本血清より精製USP結合カラムを用いてUSP特異的IgGを精製した。得られた抗体の感度及び特異性について、キャプチャー抗体0.3 μgの条件で間接ELISA法を構築し、精製USP及び、ネガティブコントロールとして1 mg/mlのBSAを用いて検出感度及び特異性の解析を行った。最後に、組換え大腸菌体内で産生されたUSPに対する検出能を検証するため、USP産生・非産生組み換え大腸菌株の培養液をソニケーション処理し、細胞破砕菌体についてELISA試験を行った。 【結果及び考察】構築したELISA法は、ネガティブコントロールとして用いた1mg/mlのBSAと反応しなかった一方で、10 ng/mlの精製USPの検出が可能であった。組み換え大腸菌株の培養上清を用いた実験では、USP産生菌と非産生菌との比較で有意な差が認められた。以上の結果より、得られたUSP特異的IgGは高い特異性および感度を持つものであると考えられる。本研究で構築したELISA系およびUSP特異的IgGは、今後USPが持つ病原性の解析の研究や臨床サンプルからのUPEC検出に役立つと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究においては尿路病原性大腸菌感染症に対する粘膜ワクチンの候補物質であるUSPに対する好感度検出系の構築を行った。本検出系はUSPの安全性評価を含めた次年度以降の研究を進める上で必須なツールであり、本検出系の構築により次年度に実施するUSPおよび尿路病原性大腸菌の病原性解明が研究計画通りに進むものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究により得られた、高感度抗体および検出系を用いてUSPと尿路病原性大腸菌感染症発症の相関について解析を行い、USPの尿路病原性大腸菌感染症に対する粘膜ワクチンの候補物質としての安全性について検証する。USPの機能解析においては、尿路病原性大腸菌分離株のゲノム解析を含めた、菌体全体の要素との相関についても考慮する。 加えて、得られた高感度検出系の尿路感染症診断への応用についても検討する。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画よりも計画が順調に進み、研究に使用した消耗品費が少額に抑えられたために、本年度使用額が少額となった。 次年度の研究においては昨年度および本年度に実施できなかった学会発表のために、旅費の必要額の増加が予想されるため、次年度予算として運用したい。
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Research Products
(3 results)