2020 Fiscal Year Research-status Report
口腔レンサ球菌の免疫細胞による殺菌からの回避機構と感染性心内膜炎発症との関連性
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18K07124
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
田代 有美子 (浦野有美子) 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (30434145)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔レンサ球菌 / 感染性心内膜炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔レンサ球菌であるStreptococcus gordoniiは傷ついた心内膜に感染し、疣贅を作る感染性心内膜炎を引き起こすことが知られている。本疾患の発症には細菌が心内膜に付着するだけでなく、血中に入った細菌が免疫細胞(好中球や単球など)による殺菌を受けずに生存していることが必須になる。S. gordoniiが免疫細胞による殺菌を回避することは報告されているが、殺菌回避に関与する遺伝子の報告はこれまでにない。そこで本研究では、S. gordonii で免疫細胞による殺菌を回避するために働く遺伝子を探索し、その機能解析を行なう。その為、令和2年度は殺菌回避に関与する遺伝子を同定する目的で下記の研究を実施した。 ①S. gorodniiが好中球による殺菌を回避する際、どのような殺菌作用に抵抗性があるかを検討した。検査した殺菌物質は過酸化水素(H2O2)、酸(pH3.0)、リゾチーム、ディフェンシン、ラクトフェリンである。 ②好中球による殺菌の回避に働く遺伝子の探索を行った。当初Signature-tagged mutagenesis法を行う予定だったが、計画通りに進まなかった為次世代シークエンス法に変更して研究を進めることとした。具体的には通常培養中のS. gorodnii DL1と貪食食胞内のDL1との間で発現が変化している遺伝子をRNA-seq法により探索する。その為、通常培養中のDL1と食胞内を模倣した酸性条件下で培養したDL1から次世代シークエンスに用いるRNAの回収を行った。その後、RNA-seq法により発現変動が見られる遺伝子の解析を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績概要の①は終了している。②に関しては、RNAシークエンスの実施までは行えており現在は得られたデータの解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度の研究結果をもとに、令和3年度は以下の研究を行う予定である。 ①遺伝子欠損変異株を作製し、殺菌回避能が消失するかを検討 RNAシークエンスによって得られた情報を元に、目的遺伝子の単離、発現ベクターの作製を行い、S. gordonii DL1の目的遺伝子欠損変異株を作製する。作製した遺伝子欠損変異株を好中球に貪食させ、貪食後の生存率に変化があるかを調べる。 ②S. gordoniiの別の菌株や他のレンサ球菌での目的遺伝子の発現の確認 当講座ではDL1株以外にS. gordoniiの標準株8株、臨床分離株2株を所有している。さらに、Streptococcus sanguinis、Streptococcus oralis、Streptococcus mutansなど他の口腔レンサ球菌も保有している。そこで、目的遺伝子がこれらの菌株にも存在するかをサザンブロット法により解析する。これらの菌株の好中球による殺菌に対する抵抗性はすでに明らかとなっている。そこで、本実験で得られる結果と、殺菌に対する抵抗性とを照らし合わせることで目的遺伝子が好中球による殺菌の回避に関与しているかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で実験計画が大幅に遅れてしまった。RNA-seqのデータ解析が済み次第、候補遺伝子の機能解析を行う予定である。
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Research Products
(1 results)