2018 Fiscal Year Research-status Report
インフルエンザウイルス感染に伴う抗原原罪現象の誘導機序解明
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18K07135
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
新開 大史 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 准教授 (80421981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜田 宏 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 特別招へい教授 (10109506)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インフルエンザウイルス / 抗原原罪 / レパトア解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
インフルエンザウイルスの2度目以降の感染時に、そのウイルスに対する免疫反応より、初回感染ウイルスに対するそれが優位に誘導される現象が知られている。抗原原罪と呼ばれているが、この現象が誘導される機序と条件は解明されていない。問題は、季節性インフルエンザワクチン接種時に抗原原罪現象が起こることである。当該年度流行株のワクチンを接種しても、昔の流行株に対する免疫応答が誘導されてしまっては、効果が薄い。本研究の目的は、この現象の誘導機序をウイルス学と免疫学の双方の視点から明らかにし、効果的な季節性インフルエンザワクチンの開発や投与法の改善につなげることである。 本研究ではまず、インフルエンザウイルス感染マウスモデルを用いて実際に抗原原罪現象が起こることを確認した。現在、中和抗体をハイスループットに解析可能なマイクロニュートアッセイの系を構築中である。 また、抗原原罪誘導動物モデルにおけるB 細胞の系統(レパトア)解析を行うためのプラットホームを確立するために、マウスを用いて、実際に免疫グロブリン(Ig)遺伝子のレパトア解析を行った。 マウスの脾臓細胞からRNAを抽出し、逆転写反応によるcDNA合成後、次世代シークエンサーを用いて免疫グロブリン(Ig)遺伝子を塩基配列を網羅的に決定した。決定された塩基配列をIg blastにて解析し、それぞれの免疫グロブリン(Ig)遺伝子のV、D、Jセグメントの由来を決定した。今後さらに詳細な解析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インフルエンザウイルス感染マウスモデルを用いた抗原原罪現象の確認が取れたこと、必要とされる解析のアッセイシステム(マイクロニュートとレパトア解析)の構築が順調であることから、現在までの進捗状況は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
この研究で最も時間がかかると予想されるのは、B 細胞の系統(レパトア)解析システムの構築である。現在、データを取得するところまで来ているので、今後データ解析のフローを完成させ、いろいろな条件で抗原原罪を起こしたマウスを解析する予定である。また、抗原原罪誘導マウスにおけるB細胞ポピュレーションの継時的解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
免疫グロブリンのレパトア解析プラットホームの構築に時間がかかることが途中で明らかになってきたため、レパトア解析とB細胞ポピュレーションの継時的解析を行う順番を入れ替えた。そのため、経費のかかる研究内容が次年度以降に集中する事となった。
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