2020 Fiscal Year Annual Research Report
Roles of LPA receptors in the acquisition of malignant properties in cancer cells treated with anticancer drugs
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18K07249
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
辻内 俊文 近畿大学, 理工学部, 教授 (10254492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朴木 寛弥 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40336863)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | LPA / LPA受容体 / 抗がん剤抵抗性 / がん細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、リゾフォスファチジン酸(LPA)受容体(LPA1-LPA6)を介する細胞内シグナルが、がん細胞の増殖・運動・浸潤および転移などの細胞機能の制御に関与することが報告されている。本研究最終年度は、抗がん剤処理によるがん細胞の生物学的特性の変化のひとつである「抗がん剤抵抗性獲得」に着目し検索を行った。 LPA受容体シグナルを介する抗がん剤抵抗性の解析には、肺がん・大腸がん・線維肉腫細胞より樹立したLPA受容体ノックダウン細胞を用い、LPA存在下の条件で種々の抗がん剤処理に対する細胞生存率を測定した。また、LPA受容体シグナル阻害剤による効果についても同様に計測した。その結果、LPA2を介するシグナルは抗がん剤抵抗性を増強し、LPA5を介するシグナルはそれを減弱することが判明した。現在、抗がん剤処理に対する他のLPA受容体の効果についても引き続き解析を進めている。また、がん細胞の抗がん剤抵抗性獲得にがん周囲間質細胞が関わることから、今年度はLPA受容体シグナルを介する間質細胞との相互作用についても検索した。血管内皮および線維芽細胞培養上清を用いて膵がん細胞を培養すると、膵がん細胞のLPA2遺伝子発現レベルが上昇し、LPA2を介する細胞内シグナルの活性化により細胞運動能と抗がん剤抵抗性が上昇することが示された。さらに、血管内皮細胞培養上清を用いた肺がん細胞の培養においても、肺がん細胞のLPA2遺伝子発現レベルの上昇とともに抗がん剤に対する細胞生存率が上昇することがわかった。これらの結果から、間質細胞によるがん細胞の増悪化制御に向けてLPA受容体が新しい標的となりうることが示された。今年度の研究により、抗がん剤処理によって誘発されるがん細胞の抗がん剤抵抗性獲得にLPA受容体シグナルが重要な役割を演じることが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)