2019 Fiscal Year Research-status Report
Isolation and Preclinical Application of Hemangioblast-like cells
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18K07540
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
松山 知弘 兵庫医科大学, 医学部, 特別招聘教授 (10219529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中込 隆之 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80434950)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヘマンジオブラスト / ペリサイト / 骨髄 / 脳梗塞 / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞後遺症の再生治療法を確立するため、本年度では、 昨年度に引き続き、1)マウス Hemangioblast-like cell (HLC) の特性の解析を行うとともに、2)ヒト脳梗塞後の骨髄からHLC の同定・抽出に成功した。さらに、3)マウスHLCを脳梗塞マウスに投与して脳卒中の細胞移植治療の前臨床試験(2回目)を行った。 その結果、脳梗塞後のヒト骨髄由来のHLCでもマウスHLCと同様、in vitro でCD31陽性の血管内皮細胞とPDGFRbeta陽性の血管周皮細胞に分化することが示され、生体組織において血管新生に関与することが強く示唆された。ヒト-HLCに関しては、脳梗塞患者骨髄の入手が困難であることから、ヒト臍帯血からの抽出同定を試みたところ、HLC:CD45hi およびHLC:CD45lo分画が同定された。HLC培養前の臍帯血の処理法として溶血処理後の細胞とFicol処理後の骨髄単核球分画を比較したところ、HLC:CD45lo分画の割合は溶血処理後の臍帯血の方がFicol処理後の単核球分画由来の細胞より多かった。これらのHLCもin vitro でCD31陽性の血管内皮細胞とPDGFRbeta陽性の血管周皮細胞に分化することが示され、生体組織において血管新生に関与することが強く示唆された。 細胞移植治療の2回目の前臨床試験として、中大脳動脈を閉塞した脳梗塞 (MCO) マウスに、HLC:CD45lo (MCAO-HLC群) およびVehicle (PBS) (MCAO-Vehi群)を脳梗塞作製後 2日目に静脈内投与し、行動テスト(オープンフィールド、高架式十字迷路、ワイアハングテスト、ホットプレートテスト、Y字型迷路、水迷路学習、受動的回避学習、強制水泳テスト、尾懸垂テスト、オープンスペース水泳テスト)を施行した。その結果、1回目と同様、HLC:CD45lo に脳梗塞後神経障害の改善効果があることが明らかとなった。今後は従来施行してきた骨髄単核球分画の治療効果との比較を含め、HLCの細胞治療製剤としての有用性を確立していきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、1)マウス HLC の特性(遺伝子プロファイルや分化能)解析と、本細胞の増殖法やペリサイトや内皮細胞など血管細胞への特異的分化誘導法の確立、2)ヒト HLC (hHLC) の同定・抽出、3)脳梗塞マウスを用いたHLC 移植治療の前臨床試験、が目標である。昨年度中にヒト組織からのHLCの抽出同定ができたので、当初の目的はほぼ達成できたと思われる。2020年度は、これまでの結果を整理して、特許出願を達成したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
HLCのうち、機能的にはHLC:CD45lo がtube formation/血管新生に関与する可能性が高いことが示唆された。遺伝子解析で、その基本性格は『活性化された細胞』であり、Hematopoietic potential を持った造血幹細胞と、間葉系・内皮細胞系の Common precursorであるMesenchymoangioblast の特性を併せ持つ胎生期に特異的に出現する細胞であることが示唆された。HLC:CD45loの薬効試験では、脳梗塞後の運動機能改善や不安軽減効果、記憶学習機能改善効果が認められた。しかし、HLC:CD45loの出現は一過性であり、これを選択的に誘導増殖することが必要という課題が生じてきている。その対策として、HLC:DISHやHLC:CD45loに発現している遺伝子・蛋白をBM培養時に添加することを考えているが、ストレス負荷後の造血組織や胎生期末梢血液中にHLCが存在することが明らかとなったので、より効率的な抽出法を開発することが重要と考えられる。
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Causes of Carryover |
次年度の前臨床試験の追加で、費用がかかるため、経費削減に努めた。その結果次年度使用が生じた。
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