2019 Fiscal Year Research-status Report
RSV感染症克服のための出生時母児血によるRSV各中和エピトープ抗体価の質的検討
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18K07794
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
橋本 浩一 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (50322342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 幸彦 札幌医科大学, 医学部, 教授 (00305369)
細矢 光亮 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80192318)
藤森 敬也 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80285030)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | RSV / 中和抗体価 / 中和エピトープ / 特異的抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
Respiratory Syncytial ウイルス(RSV)は乳幼児の急性呼吸不全の病因の1つであり、その疾病負担からWHOも含め全世界が克服すべき感染症の1つとしてい る。病態から治療に抗ウイルス薬は期待できず、より効果的な単クローン抗体による受動免疫、そしてワクチンの開発が望まれている。RSVには免疫標的として4 つの中和エピトープ(サイトI、II、IV、φ(zero))が報告されている。本研究では、RSVへの中和抗体価、及び各種エピトープへの抗体価を測定する。さらに出 生児の各種抗体保有の質的評価と周産期因子、出生後のRSV罹患との関連を検討し、より効果的なワクチン、および受動免疫製剤開発の中和エピトープを明らか にすることを目的としている。 まず初めに解析予定の117組の母親および児の背景を、福島県内でのエコチル調査全参加者(13321人)と比較した。年齢、分娩回数、在胎週数、出生体重、児 の性別、妊娠合併症、産科合併症において両群で有意な差は認められなかった。 続いて、母体血117検体に関してRSV-A、RSV-Bに対する中和抗体価を測定した。32倍以上の中和抗体をRSV-A、RSV-Bそれぞれに対して77%、95%保有していた。それぞれの中和抗体価は在胎週数、母体年齢との間に相関は認められなかった。次に母体血および臍帯血106組のRSV-Aに対する中和抗体価を測定した。それ ぞれの中和抗体価は強い相関が認められた。さらに中和エピトープの1つであるsite0の抗体価は母体血および臍帯血の中和抗体価と強い相関を示し、母体血、 臍帯血のsite0、site2への抗体価はそれぞれ強い相関を示すことが明らかになった。また、IgGおよびIgGサブクラスについても検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
母児血のRSV中和抗体測定、ELISA法によるエピトープ特異的な抗体測定がおおむね計画通りに進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
ほぼ計画通り進んでおり、最終年度の本年は研究成果を論文にまとめ、さらに学会等で発表する。
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Causes of Carryover |
初年度計画していた海外出張が都合により不参加となり海外出張費が余剰となり、その余剰金が2年度へも繰り越され、さらに3年度へ繰り越された。研究はほぼ計画通りに進んでおり、本年は研究成果を論文にまとめる経費、および学会での成果発表のための旅費に充当する予定である。
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