2019 Fiscal Year Research-status Report
新生児遺伝性プロテインC欠乏症のスクリーニング法の開発と血栓性疾患への応用
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18K07849
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
市山 正子 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (00645989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤吉 順子 九州大学, 大学病院, 助教 (20467921)
井上 普介 九州大学, 大学病院, 助教 (90467902)
落合 正行 九州大学, 医学研究院, 准教授 (90507782)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 新生児血栓症 / プロテインC |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年から2018年までの5年間に、全国の大学病院、小児科専門医研修施設など744施設を対象に、新生児期に発症した血栓症の全国調査を行った。470施設(63%)より返答を得ることができ、対象期間中に120症例の新生児血栓症の発症を認めた。期間内の出生数を考慮すると、新生児血栓症の頻度は10万出生に3.91人であることが判明した。また新生児血栓症発症例にたいして、二次調査アンケートを行い、母体背景、家族歴、症状、検査結果、治療、予後などの臨床データーを集積した。症状は頭蓋内梗塞/出血が85%と最も多く、その他電撃性紫斑病(6.5%)、深部静脈血栓症(6.5%)、眼出血(3.9%)であった。発症時期は日齢3までの出生後急性期が63%と最も多かったが、9%は胎児期発症であった。死亡例は5%で、精神運動発達遅滞や脳性麻痺といった後遺症はそれぞれ20%の症例に認め、眼出血を発症した症例は全症例に重度の視力障害が遺った。遺伝性プロテインC欠乏症は9症例で、そのうち5例は片アレル変異での発症であった。両アレル変異の4例はいずれも重篤で、抗凝固療法や輸血、血液製剤の投与、活性化プロテインC製剤の補充などの治療を必要とし、全症例に重篤な後遺症を呈した。今後さらにデーター解析を継続し、新生児期血栓症の治療法の確立を進める予定である。 また、新生児血栓症の遺伝子パネルを作成し、プロテインC、プロテインS、アンチトロンビン以外の血栓性素因についても解析開始しており、現在症例を集積している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新生児血栓症の全国調査、2次調査まで終了し、今後はデータ解析に進む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
全国調査の結果より、新生児期血栓症の治療法の確立行う。また、遺伝子パネルを用いて、新生児期血栓症の遺伝背景について研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は遺伝子パネルを作成し、解析を開始したところであるため、症例を集積し次年度でさらに解析を進めるために必要である。
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Research Products
(4 results)