2021 Fiscal Year Research-status Report
新生児遺伝性プロテインC欠乏症のスクリーニング法の開発と血栓性疾患への応用
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18K07849
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
市山 正子 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (00645989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤吉 順子 九州大学, 大学病院, 助教 (20467921)
井上 普介 九州大学, 大学病院, 助教 (90467902)
落合 正行 九州大学, 医学研究院, 准教授 (90507782)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 新生児血栓症 / プロテインC欠乏症 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちはこれまで、小児遺伝性血栓症の登録システムを構築し、成人までに発症する遺伝性血栓症は、新生児期から乳児期に発症するプロテインC欠乏症と、AYA世代に発症するプロテインSおよびアンチトロンビン欠乏症が多く、新生児期はプロテインC欠乏症が多く、胎児水頭症、当該内出血、電撃紫斑病など成人とは異なる発症様式を呈することを明らかにした。 当施設では、引き続き新生児・小児期における血栓症の症例を前向きに集積し、遺伝子検査と診療を行うことで、個別治療管理を実施し評価している。また、遺伝性血栓症の効率的早期診断法の確立を目指し、小児血栓症遺伝子パネル解析を進めている。 さらに、全国の周産期母子医療センターと新生児・小児診療施設の計577施設を対象に、新生児血栓症の全国調査を施行した。観察期間5年間に120名の対象患者が報告され、日齢28以内の特発性血栓症の患者数は10万出生対3.91名であった。二次調査では77名より診療経過と高次医療に関する情報が得られ、頭蓋内出血が多く、多くは日齢3以内に血栓症を発症していた。これらの症例に対して、治療法、遺伝子型および治療予後を検討している。 近年遺伝子変異が検出されない新生児電撃紫斑病が報告された。また自施設でも新生児期にプロテインC活性値が低値で頭蓋内出血や電撃性紫斑病を発症例のうち、プロテインC遺伝子変異を認めず、プロテインC活性が遅れて上昇する症例を経験した。そこで、新生児期に血栓症を発症したプロテインC欠乏症のうち、九州大学病院検査部で遺伝子解析を施行され変異を認めなかった症例14名を対象に、臨床像とその後のプロテインC活性値の推移を追跡調査した。ほとんどの症例で早産児や呼吸障害など合併症を有していた。またプロテインC活性値については、1歳時点でも成人の正常下限に達していないことが明らかとなり、その影響因子について検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新生児期に発症した血栓症の全国調査を行い、臨床経過、治療選択および長期予後について解析し、報告した。また後天性プロテインC欠乏症の追跡調査も行い、現在検討を進めている。新生児乳児期の血栓症遺伝子パネルについても、症例を蓄積し解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
血栓症発症例の前向きな症例集積を継続し、効率的早期診断法、治療管理案およびモニ ター法の確立を進め、新規治療(移植医療、特異的因子補充療法、新規抗凝固療法等)の適応についても検討していく。また後天性プロテインC欠乏症例の追跡調査結果より、プロテインC活性値の推移とその素因の解析を進める。
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Causes of Carryover |
遺伝子パネルの更なる開発と症例の蓄積を行う。
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Research Products
(4 results)