2019 Fiscal Year Research-status Report
メカノシグナルによる心筋微小管の動的制御機構の解明と治療への応用
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18K08105
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
新谷 泰範 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (20712243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 蔵 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (80589151)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | AMPK / 微小管 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞膜に局在するPM-ABCARを発現するTGラット心臓より成熟心筋細胞を単離し、浮遊した状態で細胞接着が保たれたpaired cellsを選別し、ガラスピペットで進展刺激を加える実験系の構築を目指したが、残念ながら細胞のダメージが大きく再現性のよい実験系の確立が困難であった。しかし、ストレッチ刺激装置(STREX)を用いた方法、あるいは心筋細胞に収縮刺激、収縮停止剤をくわえることによりメカノストレスを変化させ、微小管のdynamicsとの関連を示すことができた。 In vivoの解析は、AMPKによるCLIP-170のリン酸化部位に変異を加えた S311A TGマウスにおいて、有意な線維化と心収縮力の低下を認め、さらにドキソルビシン負荷心不全モデルに供したところ、コントロールに比べさらなる心機能の悪化を認めた。組織学的な検討でも心筋組織内に微小管の蓄積をみとめ、また電子顕微鏡による観察では介在板の構造異常が観察された。リン酸化を模倣するS311D TGマウスでは、S311Aとは対照的に有意な変化を認めず、CLIP170のリン酸化の意義を確立した。これらの結果をまとめ、現在論文投稿中である。 さらに2019年度には、介在板におけるAMPKの基質の探索をおこない、新規基質Xを同定した。Xはこれまで既報がまったくない機能未知の分子であった。In vitro kinationにてAMPKによりリン酸化されることを確認した後、Crispr-Cas9法によりノックアウトマウスを作成した。ノックアウトマウスはメンデルの法則にしたがって生まれ、正常に発育し、特に心機能の異常は認めなかった。しかしながら、圧負荷心不全モデルに供するとWTコントロールに比較して、有意な心機能の低下をみとめた。2020年以降分子メカニズムの解明を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに進展している
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Strategy for Future Research Activity |
AMPKによる微小管dynamicsの制御については論文報告をすすめる。また新規に同定した遺伝子Xの機能解析をすすめるため、リン酸化抗体の作成、免疫沈降、免疫染色が可能なモノクローナル抗体をKOマウスに免役することにより作成する。同時に心筋細胞において遺伝子Xを強制発現、あるいはノックダウンし、RNAシークエンスによる発現解析をこころみ、その機能解明を進めていく。
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Causes of Carryover |
本年度は計画していた実験が予定よりはやく終了したため、使用額が少なくなりました。来年度は抗体作成など、研究の進展に伴う経費の拡大も予定しております。
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Research Products
(4 results)