2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of immunotherapy against malignancies relapsed post-transplant using TCR-T cells specific for mismatched HLAs
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18K08341
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
赤塚 美樹 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (70333391)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | HLA-DP / アロ免疫 / 遺伝子改変T細胞療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の計画は、実際に同種造血幹細胞移植を受けた患者より移植後30日および100日に血液採取し、移植ドナーに由来する末梢血T細胞を移植前の患者末梢血で刺激して患者と不適合なHLA-DP抗原に反応するT細胞クローンを得ることであった。昨年度に登録できた症例は2例であったため、本年度は症例の集積に努めた結果、移植後100日採血まで得られた症例は8例となった。この中でドナー・患者間の不適合は7例で認められたが、1例は極めて稀なHLA-DPB1*104:01であり、早期死亡の2例を除く5例が検討の対象となった。この中でまずHLA-DPB1*04:02不適合移植例を解析した。移植後30日、100日に採取された末梢血を2回刺激して得られた2つのT細胞株は99%がCD3陽性で、1%前後がCD8陽性であった。培養開始20日目のT細胞株を3回目の刺激後6時間経過時にT細胞上に発現するCD154は2つの細胞株とも31%で、MACSを用いて陽性細胞を回収し、限界希釈法でクローニングを実施、良好な増殖を示した40クローンをさらに拡大培養し、患者のB-LCLが樹立できなかったため代用としてK562/CD86/DPB1*04:02,HeLa/ DPB1*04:02に対する反応性を検討したが、全て陰性であった。この結果の解釈として、得られたクローンが適合HLA(A, B, C, DR, DQ)に提示されるマイナー抗原や白血病抗原を認識していた可能性と、もう1つの不適合HLA-DPであるDPB1*41:01(日本人のわずか0.02%が保有)に反応が偏っていた可能性がある。これに対し患者のPHA刺激T細胞株と、DPB1*41:01発現白血病細胞株を作成し、特異性の解析を行う計画である。標的細胞として至適な条件が確立でき次第、残りの患者検体について同様な実験を開始する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初は健康人末梢血を不適合HLA-DP発現K562/CD86人工抗原提示細胞で刺激し、増殖したT細胞から標的HLA-DP導入K562(骨髄系腫瘍)を傷害できる2種類のクローンを得ていたが、リンパ系腫瘍細胞株を傷害できないなど対象となる白血病病型が限定的であった。そこで2019年度から実際の造血細胞移植を受けた移植後末梢血に存在する、患者体内で生理的に感作を受けたドナー由来T細胞を研究対象とした。2020年度末までに4研究協力施設から8例の登録があったが予定より少なかったこと、不適合HLA-DP型が極めて稀、移植後早期死亡、白血球数不足などで必要な採血検体が得られない症例が約半分を占めた。 上述の患者血液細胞反応性のT細胞クローン樹立ができた最初の症例では、日本人の10%が保有することで標的に選択したHLA-DPB1*04:02に反応するT細胞クローンがえられず、健康人からT細胞クローンを誘導する場合の手法を改良する必要が発生した。このため予めCD4+ T細胞をメモリー細胞に純化する、ドナー由来EBV-LCLに不適合HLA-DPを導入して抗原刺激に使うなど、培養条件の見直しに時間を要した。また使用していたHLA-DPB遺伝子(β鎖)と-DPA遺伝子(α鎖)を2Aペプチドでタンデムに繋いだ構造であると、β鎖のC末に2Aペプチドが結合したままとなり、抗原提示に支障が出る可能性があったため、α鎖とβ鎖を異なったベクターで発現させる抗原提示細胞を作り直す作業に時間を要したが、この作業は概ね完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
大幅に遅れているが移植後の末梢血を不適合HLA-DP特異的T細胞のソースとする研究方針について変更はない。これまでの研究で、HLA-DP特異的T細胞誘導条件は確立でき、また移植患者の試料採取もさらに6例の収拾の目処が立ったため、引き続き患者体内で不適合HLA-DPに生理的環境下にて感作されたドナー由来T細胞を用いて良好なクローンの樹立を進め、少なくとも1つ以上の臨床応用可能な細胞傷害性T細胞クローンを得る。抗原遺伝子の同定が詳細な機能解析に必要であるが、既に準備のあるK562細胞株由来のcDNAライブラリーに加えて、K562ベースのsgRNA/CRSPR/Cas9を利用した遺伝子ノックアウトライブラリーがHLA-DPB1*04:02に関しては完成したので、2方法で抗原同定を行っていく。さらに、同種造血幹細胞移植を受けた症例を増やすために、移植数の多い施設に参加を呼びかける。
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Causes of Carryover |
検体収拾の遅れにより、得られたT細胞クローンの表面マーカー解析などが十分実施できなかった。ようやく検体の収拾が進み始めたため、主にフローサイトメトリー解析に助成金を充当したい。
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Research Products
(6 results)