2020 Fiscal Year Research-status Report
全身性エリテマトーデスに対するtype I IFNを標的とした新規治療法の開発
Project/Area Number |
18K08386
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高松 漂太 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30584411)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | インターフェロン / ドラッグリポジショニング / SLE |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、レポーター細胞と既存薬ライブラリーを用いたスクリーニングにより見出した、IFN-I産生を抑制し得る複数の薬剤から、1)候補薬剤の絞り込み、2)作用機序の解明、3) SLEモデルマウスによる有効性の評価を行い、臨床応用を目指した橋渡し研究を進めることを目的としている。 昨年度までに、候補薬剤NAC11(仮称)がヒトPBMCからのIFN-I産生を抑制し、SLEの疾患モデル動物(NZBWF1マウス)の、生存率の延長、体重減少の改善、抗DNA抗体価の上昇抑制、蛋白尿の低減、血清IFN-I活性の低下、NAC11が糸球体腎炎を抑制することを見出した。また、NAC11によるIFN-I産生抑制のメカニズムの解明に取り組んだ。 本年度は、臨床への応用を考慮して、SLEの発症を抑制できる最小量のNAC11投与法の開発と、NAC11によるIFN-I産生抑制メカニズムの解明を引き続き実施した。これまでに、NAC11がIFN-I産生抑制するメカニズムとしてTBKのリン酸化を抑制することを見出しているが、そのメカニズムについての検討を試みたが解明は難しく、In silicoタンパク相互作用シミュレーションなどの専門家との共同研究を進めることとした。 また、ドラッグリポジショニングに関心の高い企業への働きかけを実施したが、権利関係、市場の小ささを理由に肯定的な回答は得られなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
既存薬ライブラリースクリーニングから絞り込んだNAC11が、SLE動物モデルで治療効果を示すことを明らかにできた点で、当初の目的はある程度達成できている。
一方、NAC11は悪性腫瘍で承認を得ている薬剤であるが、臨床上副作用について課題があり、SLEの実臨床で応用するためには、NAC11の作用機序、NAC11のオフターゲット効果、副作用なく効果を最大化できる投与法についても検討する必要があり、その点についての検討はまだ不十分である。動物モデルでSLEが発症するのに約90日の時間を要するため、検討に時間がかかっているため。
作用機序の解明についても、模索を続けているが具体的な成果には至っていないため。
|
Strategy for Future Research Activity |
ドラッグリポジショニングに関心の高い企業への働きかけを実施したが、肯定的な回答は得られず、今後は実臨床を見据えた薬剤投与法の検討に注力するよりも、論文化することの注力する方針である。
|
Causes of Carryover |
COVID19による実験室や動物小屋への入室制限があり、実験が進まなかった点と、論文投稿費用を確保する必要があったため。
現在論文投稿の準備を進めており、本年度中には論文投稿し、その費用として使用予定である。
|