2018 Fiscal Year Research-status Report
CAPP-Seqを用いたctDNA変異解析モニタリングによる膵癌個別化治療の開発
Project/Area Number |
18K08629
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
廣野 誠子 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60468288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川井 学 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (40398459)
岡田 健一 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50407988)
宮澤 基樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (90549734)
北畑 裕司 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (00535338)
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 膵癌 / 遺伝子異常 / CAPP-Seq |
Outline of Annual Research Achievements |
切除不能膵癌症例5例から、化学療法(gemcitabine+nab-paclitaxel)による治療前、治療後3ヶ月毎に、血漿を採取した。AVENIO cfDNA Isolation Kitを用いて、採取した血漿から、cell-free DNA (cfDNA)を抽出し、ctDNA Library Prep Kitを用いてcfDNAにadapatorをligationし、PCRにて増幅した後、ctDNA Surveillance Panelを用いて197箇所の標的領域をhybridizationし、DNA断片を回収した。回収したDNA断片の配列をNexSeq sequencerでシークエンスし、標的領域におけるctDNAの変異頻度を定量化した。治療前に採取した血漿のcfDNAでは、KRASやTP53といった膵癌における既存の遺伝子変異のみならず、DOCK3, EGFR, ALKなどの変異を認めた。5例中3例はpartial responseを認め、partial respons時にはKRASならびにTP53の変異量はいずれの症例も0まで低下した。その後、progression diseaseになるとKRASならびにTP53ともに変異量の増加を認めた。また、化学療法に効果を認めなかった2例に関しては、治療開始後のモニタリングにより、治療前と違う遺伝子変異の出現を認めた。今後さらなる症例を増やし、また長期フォローで治療評価をモニタリングすることで、膵癌における化学療法の効果予測ができる遺伝子異常や、耐性を早期に診断できる遺伝子異常の同定を目指す。本研究の成果は、膵癌治療において大きな貢献が期待できる可能性が高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画にしたがって、本研究のプロトコールを作成し、当院倫理審査委員会の承認を得た後、症例収集ならびに実験を開始している。現時点では、プロトコールにほとんど遅れずに研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書にあるように、1.本研究の同意を得られた切除不能膵癌患者から、化学療法治療前、治療開始後3ヶ月毎に血液を採取する。症例数は20例を目標としており、今後も症例収集が必要である。2.採取した血漿からcfDNAを抽出し、CAPP-Seqによる、197標的領域の遺伝子異常検索を行う。本実験は、非常に精密な実験技術が必要であるため、できるだけ多くのサンプル数を同時に行うことで、同じ条件での結果をだすことができると考えるので、ある程度1.のサンプル収集が軌道に乗った時点で行う。3.CAPP-Seqによる膵癌症例の血漿cfDNAの遺伝子変異を治療前から定期的にモニタリングすることで、同一個体の遺伝子変異量の変化を同定し、化学療法の効果との相関ならびに、化学療法耐性のメカニズムを同定する。以上のように解析した結果を学会・論文で報告する予定である。
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