2019 Fiscal Year Research-status Report
股関節キネマティクスおよび関節面応力からみる股関節スタビライザーの役割
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18K09107
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
後東 知宏 徳島大学, 病院, 特任准教授 (10420548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 佳三 徳島大学, 病院, 助教 (00771289)
高砂 智哉 徳島大学, 病院, 医員 (40624755) [Withdrawn]
浜田 大輔 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任准教授 (90380097)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 関節面応力解析 / 骨盤後傾 |
Outline of Annual Research Achievements |
未固定遺体を用いて関節包靱帯切除による関節可動域および関節安定性に対する影響を検討した。股関節前外側アプローチにて筋間より股関節に達し、関節包靱帯を坐骨大腿靱帯→腸骨大腿靱帯の順に切離し、人工股関節用のナビゲーションシステムを用いて関節可動域のモニタリングを行った。可動域評価では、屈曲-10°から60°までの最大外旋、最大内旋角度を計測した。関節安定性の評価は、バネばかりを用いて下肢を20Nで牽引し、関節がlift offした長さを測定した。結果、最大外旋角度に関して、腸骨大腿靱帯を切除することで大きく変化し、特に-10度、0度、+10度において有意差を認めた。最大内旋角度に関して、坐骨大腿靱帯と腸骨大腿靱帯は同等の影響を示したが、両方の靱帯を切除することで大きく内旋角度が増加する結果が得られた。内旋に関しては、外旋筋群等の関節包以外の要素が強く関与していることが考察される。牽引力に対する抵抗性は腸骨大腿靱帯の影響が最も大きい結果が得られた。 フィルム状圧センサーを用いた関節面応力解析について。未固定遺体の関節包を切除した条件にて骨盤矢状面アライメントの変化が関節面にかかる応力に及ぼす影響を調査した。関節面に厚さ0.5 mmのシート状圧センサーを挿入し、万能試験機にて下肢荷重軸方向から一定の応力を加えて関節面応力測定を行った。測定条件は、矢状面骨盤アライメントを臥位基準(FPP)、5度後傾、10度後傾とした。結果、関節面応力分布は後傾角度が増加するとともに前方へ変位し、応力は平均応力で、FPP:1.85 N, 5度後傾:2.35 N, 10度後傾:2.73 N、最大応力でFPP:26.9 N, 5度後傾:27.1 N, 10度後傾:30.5 Nとなり平均応力、最大応力ともに骨盤後傾と正の相関を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた股関節動態解析に関して、CT画像ソフトを使用する計画から関節ナビゲーションを使用する方法に変換し、再現性の高い検証が可能となっている。また、フィルム状圧センサーを用いた関節面応力解析に関しては、検証数が不足しているものの、骨盤傾斜の変化に応じたデータが得られている。今後検証数を増加して統計学的処理が可能となるように進める予定である。関節唇損傷モデル、骨頭靱帯切除モデル、関節包切除モデルの作成はやや遅れているが、関節包切除モデルに関してはほぼ完成されたデータが得られている。今後の課題として、残りのモデル作成の検証を進めたい。関節動態解析および関節面応力解析の基礎的な方法は確率されてきているので各モデルの作成と検証を継続して行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
股関節動態解析およびフィルム状圧センサーを用いた関節面応力解析に関しては、検証数が不足しているものの、再現性の高いデータが得られている。今後検証数を増加して統計学的処理が可能となるように進める予定である。関節唇損傷モデル、骨頭靱帯切除モデル、関節包切除モデルの作成はやや遅れているが、関節包切除モデルに関してはほぼ完成されたデータが得られている。今後の課題として、残り2つのモデル作成と各モデルにおける股関節動態解析および関節面応力解析の検証を進めたい。関節動態解析および関節面応力解析の基礎的な方法は確率されてきているので各モデルの作成と検証を継続して行う予定である。 最大の課題は、使用可能な未固定遺体が少なく検証数が不足している点である。研究手技的には機能しており、安定した実験結果も出せているので今後検証数を増やすことで統計処理を行う予定である。
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Causes of Carryover |
使用できる検体数に限りがあるため、実験に必要な消耗品が想定より少なかった。今後は高額な圧センサーの研究がメインとなるため本研究に必要な消耗品等に次年度請求額とあわせて使用する予定である。
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