2018 Fiscal Year Research-status Report
Long-term influence of the stress exposure in early life on the sexual function in adulthood
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18K09264
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松崎 利也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (70294692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
苛原 稔 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (20160070)
岩佐 武 徳島大学, 病院, 特任准教授 (00707903)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ストレス / 性機能 / 性成熟 / 性行動 / テストステロン / 視床下部 / GnRH / プロゲステロン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、出生後早期に受けた感染ストレスが、雄ラットの成長後の性行動に及ぼす影響について検討した。出生後早期のSD系雄ラットを用い、control群(n=17)、PND10LPS群(n=31)、PND25LPS群(n=16)に分けた。PND10LPS群は日齢10日に、PND25LPS群は日齢25日にLPS (100μg/kg) を腹腔内に投与した。生後35日から連日、包皮分離(PS)を観察した。性行動は、生後10~12週間に交配用雌ラットと1対1で同居させ、mount、intromission、ejaculationを観察した。また、血中テストステロン(T)、LH濃度と視床下部生殖関連因子のmRNA発現量を検討した。その後、生後14週に精巣を取り除き、生後17週に後頚部皮下にTを入れたシリコンチューブを留置し,生後19週に性行動、T、LH濃度および生殖関連因子のmRNA発現量を検討した。その結果、PSはcontrol群よりもPND10群が有意に遅かった。性行動は、control群よりもPND10群が有意に低かった。PND10LPS群、PND25LPS群の血中T濃度はcontrol群よりも有意に低かったが、血中LH濃度は3群間で有意差がなかった。視床下部PR B、GnRH のmRNA発現量は、PND10LPS群およびPND25LPS群ではcontrolよりも有意に低かった。T補充後、PND10LPS群、PND25LPS群の性行動はcontrol群よりも有意に低く、血中T、LH濃度およびPR B等のmRNA発現量は3群間で有意差はなかった。以上のように、出生後早期の感染ストレスは、雄ラットにおいて性成熟を遅らせ、成長後にT産生と視床下部GnRHおよびプロゲステロン受容体の発現を抑制し、性行動を減弱させた。性行動の減弱はTの産生低下と関係なく起きていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は、生後早期の感染ストレスが、雄ラットの性機能に及ぼす影響について検討し、性成熟の遅延、性行動減弱、血中T濃度抑制、視床下部GnRHおよびプロゲステロン受容体の発現抑制を明らかにし、また、性行動減弱はTを補充しても正常化できないことを示した。2018年度に予定していた研究の大半を完了しているので、順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
生後早期の感染ストレスが、雌ラットの性機能に及ぼす影響について検討したのち、生後早期に受けた心理的ストレスが思春期発来と性行動に及ぼす長期的影響についての検討に入る。出生直後のラットを用い、心理的ストレスのモデルとして、母仔隔離(MS群)では日齢2~11日の間、4時間/日、母と隔離する。 検討項目は1.体重(生後、1週間ごとに体重を計測)、2.思春期指標(雄ラットの包皮分離(生後29~40日)、雌ラットの腟開口、生後29~40日)、3.発情周期(生後8週から10日間腟スメアを採取し、エストラスの回数、周期の日数を調べる)、4.雄ラットの性行動(生後10~12週後に雄ラットを交配用の雌ラットと1対1で 同居させ、30分間ビデオを録画し性行動を調べる。Mount, intromission, ejaculationの回 数と時間を観察する。)、5.雌ラットの性行動(生後10~12週後に雌ラットを交配用の雄ラッ トと1対1で同居させ、30分間ビデオを録画し性行動を調べる。Lordosis, ear wiggles, darts, hipsの回数と時間を調べる。)、6.血中ホルモン濃度: :雄ラットのLH,テストステロン。LH,エストラジオール。(LHはRIA、E2とTはECLIA) 、6. 視床下部の関連因子 のmRNAの発現量(Real time PCR測定。対象の視床下部因子はKiss1r,GnRH,GPR147,GAPDH)
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Causes of Carryover |
研究遂行に必要な予算を執行したところ、\147,447の残額が生じている。この金額で研究遂行に必要な消耗品の購入に適したものが無かったため、次年度の研究の経費として執行する予定である。
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Research Products
(17 results)