2018 Fiscal Year Research-status Report
Improvement of diagnostic performance of polycystic ovary syndrome using serum reproductive hormones and anti-Müllerian hormone
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18K09293
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
苛原 稔 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (20160070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 利也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (70294692)
岩佐 武 徳島大学, 病院, 特任准教授 (00707903)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 多嚢胞性卵巣症候群 / 診断基準 / LH / テストステロン / AMH |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、PCOS患者106例、正常月経周期女性99例の血液検体を収集した。PCOS患者は、外来受診患者で同意を得た者で、日本産科婦人科学会の診断基準で診断し、ホルモン治療を行っていない時期に、超音波検査にて発育卵胞のないことを確認の上で採血した。正常女性は、月経異常や内分泌疾患のない同意を得たボランティアの生殖年齢女性で、基礎体温で異常の無いことを確認の上、卵胞期中期に身体計測と採血を実施した。次いで、LH、FSHを、エクルーシス(ロシュ・ダイアグノスティックス社)、アーキテクト(アボットジャパン社)を用いて測定した。 PCOS患者の診断に必要なLH、LH/FSH比のカットオフ値を設定するために、正常女性群のLH、LH/FSH比で、0.1刻みのべき乗変換と対数変換を行い正規性を検討した。無変換、各べき乗変換、対数変換の中から、Shapiro Wilk検定のP値が最も大きい変換を、統計学的に最も確度の高い正規分布としたところ、アーキテクトでは、LH値が0.4乗のべき乗変換、LH/FSH比が0.5乗、T値は対数変換が、それぞれ統計学的に最も確度の高い正規分布を示した。一方、エクルーシスにおいては、LH値が0.6乗、LH/FSH比が0.4乗、Tは0.3乗が、それぞれ統計学的に最も確度の高い正規分布を示した。平均値+標準偏差を算出し、逆変換を行いカットオフ値候補1を設定し、アーキテクトではLHは7.0、LH/FSH比は1.27、エクルーシスでは10.0、1.45と算出した。2つの測定系のカットオフ値を相関式で互いに算出し、それらの中間点となる値をカットオフ値候補2とし、アーキテクトではLHは7.1、LH/FSH比は1.21、エクルーシスでは9.9、1.52と算出した。次年度に候補1、候補2の妥当性について検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度の研究計画では、PCOS患者100例、正常月経周期女性(同意を得た生殖年齢女性、卵胞期中期)100例の検体を収集する予定であり、実際にはPCOS患者106例、正常月経周期女性99例の血液検体を収集し、目標とする数の検体を収集している。 さらに、予定通り血中ホルモン(LH、FSH)を2つの測定系で測定した。また、LH、LH/FSH比について、正常月経周期女性の測定値を各種の変換により正規性を検討した上で、カットオフ値の候補を算出することができた。このように当初の計画通りに研究が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
テストステロン(T)のカットオフ値を、正常月経周期女性の測定値を、無変換、べき乗変換、対数変換し、正規性に最も近い変換方法を選択した上で、平均値+1.96標準偏差を本研究でのカットオフ値として算出する。2018年度に算出しているLH、FSHのカットオフ値候補1および2を用い、非肥満PCOS、肥満PCOSにおける、LH、LH/FSH比、Tの異常率を検討する。また、診断基準に則って高LHと高Tを組み合わせた内分泌異常検出率を算出し、更に、内分泌異常検出率の高いLH、LH/FSH比のカットオフ値候補をカットオフ値に決定する。 PCOS患者と正常女性との血中AMH濃度について、各群のAMHを測定し、AMHを規定している因子を探索し、診断基準内の卵巣所見の補助としての意義について検討する。 PCOSのサブグループ解析は、肥満と非肥満に分け、内分泌的パラメーター(LH、FSH、LH/FSH比、総テストステロン、遊離テストステロン、アンドロステンジオン、DHEAS、DHEA、E1、E2、E1/E2比)、代謝的パラメーター(空腹時インスリン、空腹時血糖、HOMA-IR、中性脂肪、LDLコレステロール、血圧)、身体的パラメーター(超音波による平均卵巣体積(OVPO)、月経異常の重症度(無排卵月経、希発月経、無月経)、多毛の有無、ニキビの有無、ウエスト周囲径、ヒップ周囲径、ウエスト/ヒップ比、BMI、体脂肪率)で、日本女性のPCOSのサブタイプの特徴を明らかにする。 上記の検討結果から、サブタイプを考慮した、診断精度の高い新たな診断基準の案を作成する。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していた研究が延期となり実施できす、4月に実施予定となったため研究費に未使用が生じた。4月に執行する予定である。
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Research Products
(17 results)