2018 Fiscal Year Research-status Report
乾燥同種培養表皮の基礎研究 利便性の高い皮膚再生医療を目指して
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18K09479
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂本 道治 京都大学, 医学研究科, 特定講師 (40445044)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 製造方法の確定 / 動物実験モデル / 放射線滅菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、広範囲熱傷を代表とする皮膚欠損創に用いる新規創傷被覆材としての同種培養表皮の臨床応用実現を目指して、その製造法・特性・有効性を明らかにすることをめざす。このうち本年度は、これまでにドナーから採取して作製した表皮細胞セルバンクの細胞を用いて培養表皮を試作し、この性状・力学的特性などを評価した。この結果、セルバンクの細胞を用いて培養表皮を安定して製造できることが確認され、この作製した培養表皮を用いて乾燥培養表皮を試作した。複数の乾燥方法を比較し、乾燥方法の違いによる乾燥培養表皮の性状・強度の違いを見出した。これらの乾燥培養表皮を糖尿病性マウスを用いた皮膚欠損創モデルに貼付し、その使用感・創傷治癒促進効果を比較検討した。これらの結果に加え、乾燥にかかる工程・時間などを考慮して今後の検討に使用する乾燥方法を決定した。 同種培養表皮の安全性をより高めるためには、放射線照射による滅菌工程を行うことが望ましい。放射線照射が培養表皮に与える影響を調べるため、放射線照射前後の培養表皮の組織学的評価・電子顕微鏡による比較を行った。その結果、放射線照射が形態に与える影響は軽微であり、上記の糖尿病性マウスモデルで創傷治癒促進効果を比較したところ、放射線照射を行っても性能は維持されることがわかった。 加えて、F344ラットの背部に6倍メッシュ植皮を行ったモデルを作製し、乾燥培養表皮の創傷治癒促進効果の比較検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りに研究を開始し、セルバンクの細胞を用いて培養表皮を作製し乾燥培養表皮を作ることに成功した。これらの研究に関しては順調に進捗している。 ハンドリングを改善するための支持体(キャリアシート)については、選定を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
より適切な培養方法を模索するために、温度応答性感応皿(UpCell)を用いて表皮細胞を培養し、ディスパーゼを用いずにシャーレから剥離することで細胞外マトリックスを温存した培養表皮を作製する。この方法で作製した培養表皮の性状や厚さ・物理学的強度を確認するとともに、基底膜タンパク質を免疫染色することで確認する。 この手法により、より厚みがあり取り扱いしやすい培養表皮ができるかどうかを検討する。 この方法で作製した培養表皮と従来の方法で作製したものとを、含まれるサイトカイン量・動物実験などで比較し、より臨床使用に適した培養表皮が作製できるかを確認する。これらの方法で作製した培養表皮の創傷治癒促進効果を糖尿病マウスモデルと、F344ラットメッシュ植皮モデルとで検討する。
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Causes of Carryover |
温度応答性感応皿(UpCell)を用いた実験を今年度は行うことができなかったため、この実験に必要な資材・試薬を購入しなかったため。この実験を来年度に行う。温度応答性感応皿および表皮細胞培養用培地・ピペットなどの消耗品を購入する。
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