2019 Fiscal Year Research-status Report
生殖機能獲得を目指した同性・異性間子宮卵巣同時移植の研究
Project/Area Number |
18K09482
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
難波 祐三郎 岡山大学, 大学病院, 教授 (00335605)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 子宮移植 / 子宮卵巣移植 / 性同一性障害 / 異性間移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は雌ラットの子宮+卵巣自家移植における手術手技の更なる安定化、及び血流安定化の条件の検討をまず行った。平成30年度の報告書に記載した様に双角子宮の左半分を使用して、子宮動脈及び子宮静脈から連続する総腸骨動脈・総腸骨静脈を切離・吻合部位として設定した。骨盤内の血管は動静脈共に細かい血管が多いこと、吻合部位はどうしても深部となることから、しっかり視野を確保するためにラットへの侵襲はやや大きくなるが、最終的に吻合に難渋することでの手術時間増加による侵襲度のデメリットの方が高いと判断して、腹部正中の大切開で展開、更には切離・吻合手技中は腸管を腹腔外に誘導して吻合手技を行うことで安定した血流を得られるようになった。ただし、この手技だと、いずれにせよ侵襲が大きいため術後週単位での生存率が下がる形となった。そのため低侵襲で短時間手術による血流状況を見るため、同時並行で血管の切離・吻合を行わず、子宮の栄養を行う左右の子宮・卵巣動静脈を適宜結紮しつつ、結紮直後・1~2週間後の子宮・卵巣血流も確認する手技を行うこととした。子宮動静脈を切離・吻合して左の子宮卵巣自家移植を行った場合、左の子宮動静脈以外の栄養血管を結紮した場合では、それぞれ生存数の違いでサンプル数に差はあるものの、共に吻合直後~10分後までで、左右の子宮合流部~左の子宮卵巣吻合部近くまでは血流が維持されたが、右の子宮卵巣は鬱血気味、左の卵巣は血流低下して白色の状態であった。再開創時も概ね共に左子宮体と比較して、右側子宮+卵巣、及び左卵巣は明らかな血流低下を認めた。この結果から同種ラットへの移植条件として、短時間かつ低侵襲での手術を終わらせるために、卵巣を含めずに子宮動静脈を茎として左の子宮体部のみを移植することとして雄ラットへ、左の総腸骨もしくは大腿動静脈に端端吻合し、子宮の片側端を腹腔外に出す方向で進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
より短時間・低侵襲・確実性のある手技を調整したため、血流も含めた条件の極力良い移植を行う方針が決定した。今後の異性間での移植は、配置の問題はあるものの、手術手技的には摘出よりも煩雑性は劣るため、その検討を含めても研究は順調に終了可能と考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
左の子宮動静脈を茎とした左の子宮体部の雄ラットへの大腿動静脈への移植を数を増やして生着率・子宮の活動性、移植ラットへの合併症の有無に関して、術後短期・長期に分けて観察する。安定した結果を得られるようであれば、卵巣動静脈の吻合を付加した卵巣同時移植も検討する。
|
Causes of Carryover |
前述のごとく研究は比較的順調に経過しているが、雄ラットへの移植に関してより多くの、長期のデータを得るために各種実験器具、薬剤使用、動物数を要することが、次年度使用額が生じた理由である。次年度においては残った動物実験を早急に終了し、予定通りに研究を完了させる見通しである。
|