2019 Fiscal Year Research-status Report
香辛料含有成分を歯周炎治療に用いるための基礎的研究-ローズマリーに着目して-
Project/Area Number |
18K09600
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
細川 育子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (50707908)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 義隆 徳島大学, 病院, 講師 (90346601)
中西 正 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (00217770)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 歯周炎 / ローズマリー / サイトカイン / ケモカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周炎は歯周病関連細菌により惹起される慢性炎症性疾患であり、過剰な免疫応答が歯槽骨吸収をはじめとする歯周組織破壊に関与していることが明らかとなっている。 Carnosic acidはローズマリーやセージに含まれる生理活性物質であり、我々はIL-27が誘導するヒト口腔上皮由来細胞(TR146)のCXCR3リガンド産生をCarnosic Acidが抑制することを近年報告した(Inflammation, 42, 1311-1316, 2019)。しかしながら歯周組織構成細胞の一つであるヒト歯根膜由来細胞(HPDLC)に対するCarnosic Acidの影響に関しては不明であった。 本研究では、炎症性サイトカインであるIL-1βあるいはTNF-αがHPDLCに誘導するサイトカイン産生に及ぼすCarnosic Acidの影響に関して検討を行った。また、それに関与しているシグナル伝達経路に与える影響に関しても検討した。Carnosic AcidはIL-1βが誘導したHPDLCのIL-6, CCL20およびCXCL10産生を濃度依存的に抑制した。また、Carnosic AcidはIL-1βが誘導したIKK-α/β, NF-κB p65およびIκB-αのリン酸化を抑制した。また、Carnosic AcidはTNF-αが誘導したHPDLCのIL-6, CCL2およびCXCL10産生を濃度依存的に抑制した。さらに、Carnosic AcidはTNF-αが誘導したIKK-α/β, NF-κB p65、IκB-αおよびSTAT3のリン酸化を抑制した。 今回の結果より、Carnosic AcidはHPDLCのNF-κBあるいはSTAT3シグナル伝達経路を阻害することにより、IL-1βあるいはTNF-αが誘導する炎症性サイトカイン産生を抑制できることが明らかとなった。このことは歯周炎病変局所へのCarnosic Acidの投与によりHPDLCの炎症性サイトカイン産生が抑制され、歯周炎病変局所での過剰な炎症反応を抑制できる可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までにローズマリーやセージに含まれる生理活性物質であるCarnosic acidが歯周組織構成細胞の一つであるヒト歯根膜由来細胞(HPDLC)のIL-1βおよびTNF-α誘導のサイトカインおよびケモカイン産生をNF-κBおよびSTAT3のシグナル伝達経路を阻害することにより抑制することを明らかとした。 これらの結果により、歯周炎病変局所へのCarnosic Acidの投与によりHPDLCの炎症性サイトカイン産生が抑制され、歯周炎病変局所での過剰な炎症反応を抑制できる可能性が示唆されたため、その結果を学会発表し、現在論文投稿中である。ゆえに本研究課題はおおむね順調に進展していると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、歯周組織構成細胞の一つであるヒト歯根膜由来細胞に対してカルノシン酸に抗炎症作用があることを明らかとしている。今後、炎症性サイトカイン等で刺激し、ケモカイン産生に対するロズマリン酸の影響に関してELISA法およびRT-PCR法を用いて検討し、さらにヒト口腔上皮細胞のケモカイン産生に関与するシグ ナル伝達経路の活性化にロズマリン酸が影響を与えるか否かに関してWestern Blot法を用いて検討を加える。 これらにより、ヒト口腔上皮細胞においてローズマリーに含まれるロズマリン酸がカルシノン酸と同様の作用を起こすのか検討を行う予定である。 また、ヒト口腔上細胞に関しても同様の予定である。
|
Causes of Carryover |
今年度はこれまでに培養に使用していた試薬に加えて、ELISA Kit, Western blotに使用する抗体などが十分に残っていたためと発表予定であった学会に参加できなかったため次年度使用額が生じた。
(使用計画)次年度請求額と合わせて、多種類のサイトカイン、ケモカインの発現を確認するためのELISA Kitや抗体を購入、また学会や論文投稿に使用する予定である。
|
Research Products
(3 results)