2018 Fiscal Year Research-status Report
癌幹細胞と口腔癌転移患者血液の2つに着目した転移特異的miRNA同定と診断法確立
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18K09745
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高丸 菜都美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 徳島大学専門研究員 (40513031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 洋二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (20200214)
玉谷 哲也 徳島大学, 病院, 講師 (30274236)
中川 貴之 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (30456230)
大江 剛 徳島大学, 病院, 講師 (60432762)
真野 隆充 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (80325125)
栗尾 奈愛 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (80622141)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | microRNA / 口腔癌 / 癌幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔癌の転移特異的なmicroRNAの同定を本研究の目的とする.転移特異的な候補miRNAの選定法として2つの提案がある.第1は同一癌患者の①術後非担癌状態時の血液と,②頸部リンパ節,遠隔転移時の血液を用いアレイ解析して候補miRNAを得る。第2は、癌幹細胞に着目した方法である.これらをB88細胞に導入して癌幹細胞様細胞を作製し,親細胞と解析を行い,候補miRNAを得る.候補miRNAは上記モデルを用いて検証して,口腔癌の転移に特異的なmiRNAを同定する. 平成30年度の研究実績としては以下のことを行った。 Ⅰ.口腔癌患者の血液に着目した転移関連miRNAの選定と同定.1)口腔癌患者の血液に着目した転移関連miRNA候補の探索と選定.2)上記で選定した転移に関連する候補miRNAの検証による転移特異的miRNAの同定 Ⅱ.癌幹細胞に着目した転移関連miRNAの選定と同定.1)口腔癌組織における癌幹細胞マーカー発現の検索.2)ALDH1とSOX2を発現させた癌幹細胞様細胞株の樹立.3)癌幹細胞に特異的な転移に関連するmiRNA候補の探索と選定.4)上記で選定した転移に関連する候補miRNAの検証による転移特異的miRNAの同定
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前述のⅠ.口腔癌患者の血液に着目した転移関連miRNAの選定と同定.1)口腔癌患者の血液に着目した転移関連miRNA候補の探索と選定に関して,口腔癌患者の根治手術後,担癌状態でないと考えられる時の血液①と,原発巣に再発がなく,転移が判明した時(体内に転移巣のみ存在している状態)の同一患者の血液②をサンプルとして,miRNAのマイクロアレイ解析(①と②)を行い,20例の解析結果から,発現差が3倍以上あるmiRNAを,候補miRNAとして選定する予定としていたが,解析結果にばらつきがあり候補miRNAが絞り切れていないため.
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度以降は以下のことを行う予定としている. 転移に関連するmiRNAの機能解析を行う.具体的には,培養口腔癌細胞(SAS,CAL27, B88細胞)で同定したmiRNAの発現を調べる.インヒビターを用いて同定したmiRNAの機能を抑制,あるいはmiRNA発現プラスミドを用いて過剰発現させる.miRNAの発現を抑制あるいは強制発現した癌細胞のスフェロイド形成,足場非依存性増殖能をsoft agar assay,腫瘍形成能を調べ,癌幹細胞の特性を有しているか確認する.また,同定したmiRNAが治療の標的になり得るかを,マウスリンパ節転移モデルを用いて検討する.同定したmiRNAが高発現している癌細胞をヌードマウス咬筋内に移植し,同定したmiRNAを標的とした抗腫瘍効果と転移抑制効果を確認する.具体的には,腫瘍体積が100 mm3を超えた時点で,miRCURY microRNA Inhibitorとアテロコラーゲンを複合化させ,200μlの溶液としたものを,1週間に一度腫瘍近傍へ投与する.腫瘍体積を測定し,30日後に腫瘍を摘出する.転移巣での癌細胞の有無,腫瘍での同定したmiRNAの発現,癌幹細胞の表面マーカーの発現を比較検討する.また,癌細胞を尾静脈より注射し,肺に転移巣が形成される2週間後より,miRCURY LNA microRNA Inhibitorとアテロコラーゲンを2週間に4回投与する.その後,肺への転移数,肺重量を測定し,腫瘍内の同定したmiRNAの発現を定量する.以上の結果より,同定したmiRNAが遠隔転移に関与し,癌治療の標的となるか,動物実験で明らかにする.
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Causes of Carryover |
平成30年度に購入予定であった物品の多くは,以前より当教室で有している物品等を使用することで研究を遂行することが可能であった.そのため予定額より少額で済み、差額を次年度使用額とした. 次年度は,転移に関連するmiRNAの機能解析を行う.そのために,培養液,培養ディッシュなど培養に関連した消耗品やmiRNAの機能を抑制,あるいはmiRNA発現プラスミドを用いて過剰発現させるための試薬が必要である.さらに得られたトランスフェクタントを動物実験に供し,miRNAが治療の標的になり得るかをin vivoで検討するために,動物実験に関する消耗品が必要である.
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