2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K09764
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大井 一浩 金沢大学, 附属病院, 講師 (90451450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 博幸 琉球大学, 大学院医学研究科, 教授 (30542253)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | STR / Ortマウス / TMJ-OA / アグリカナーゼ / [-1A] TIMP-3 / 下顎頭軟骨 / 保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
STR / Ortマウスは、股関節/膝関節の自然変形性関節症(OA)モデルとして確立されているが、STR / Ortマウスの顎関節OA(TMJ-OA)は不明である。 TMJ-OAの軟骨破壊は、主にMMPとADAMTSによって媒介される。 STR / Ortマウスなどの外傷性または負荷誘発性の病因がなく、遺伝的感受性のために自然発生的なTMJ-OAが生じるTMJでは、アグリカナーゼを標的とする治療候補はまだ定義されていない。研究の目的は、自然に発達するTMJ-OAの詳細と、STR / Ortマウスにおける下顎頭軟骨の分解に対するアグリカナーゼの標的阻害の効果を調査することである。軟骨細胞で[-1A] TIMP-3をユビキタスまたは条件付きで過剰発現するトランスジェニックマウスを作成した。 [-1A] TIMP-3は、メタロプロテイナーゼ3の組織阻害剤(TIMP-3)のバリアントで、ADAMTSを選択的に阻害するが、MMPは阻害しない。40周齢の未処理のSTR / Ortマウス(STR / Ort)との間で下顎頭骨の変化と関節軟骨の破壊をマイクロCTイメージングとサフラニン染色による組織病理学的検査を行なった。CTイメージングにより野生型では下顎頭変形および骨棘が [-1A] STR / Ortより進行し、これらの進行は個々に異なり、左右の違いがあった。 [-1A] STR / Ortでは、下顎頭軟骨の分解が野生型のSTR / Ortよりも減少していた。STR / Ortマウスは、自然発症のTMJ-OAマウスモデルとして有用であった。 [-1A]アグリカナーゼのTIMP-3を介した阻害は、自然に発生するTMJ-OAマウスモデルにおける下顎頭軟骨の分解から保護することが可能と思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においては、PCRの発症機序を解明する戦略として、骨・軟骨・筋・腱などの多種組織から多角的な研究を計画している。野生型のSTR/ortマウスのTMJOAについては、加齢変化や性差を明らかにした。-1ATIMP3 STR/ortマウスで下顎頭軟骨破壊が抑制されたことも分かり、概ね順調に研究は進んでいる。2019年には、我々の研究グループでは英国において「Development of a novel international research team to address the pathogenesis of human temporomandibular joint disorder」が 笹川財団のButterfield Awards for UK-Japan collaboration in medical research and public health practiceの採択を受けた。そして、このプロジェクトの一環として、2019年12月には英国の共同研究者が来日し、『Liverpool-Kanazawa Scientific session』を行うなどの成果を挙げている。また、2019年のアメリカ顎関節外科研究会(ASTMJS)で『Temporomandibular joint osteoarthritis in the STR/Ort mouse model of spontaneous osteoarthritis and effect of targeted inhibition of aggrecanases for mandibular condylar cartilage degradation』を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
野生型、[-1AlaTIMP3] STR/ortマウス下顎頭からの骨芽細胞培養を行う。下顎頭を粉砕し、collagenaseを用いて骨芽細胞を単離し培養する。アリザリンレッド染色にて骨芽細胞の骨形成能を評価し、培養液中に分泌した骨形成タンパク量を測定する。-1ATIMP3 STR/ortマウスで下顎頭軟骨破壊が抑制されたメカニズムについて分子的に解析を行う。野生型STR/ortマウス咀嚼筋腱からの腱細胞の培養とメカニカルストレス培養を行う。咀嚼筋腱膜から腱細胞を単離して、multi-network chamberを用いたShear-Stress Modelにて、機械圧の変化におけるスクレラキスの発現を観察する。野生型、[-1AlaTIMP3] STR/ortマウス下顎頭、腱からの遺伝子抽出を行う。下顎頭を液体窒素で粉砕し、Trizol regentsでmRNAを抽出して、cDNA reverse transcriptionにてRealtime RT-PCRを行い、[-1AlaTIMP3]遺伝子発現、骨形成マーカー、テノモジュリン、スクレラキシス、SOX9の遺伝子発現を評価する。野生型、[-1AlaTIMP3] STR/ortマウス下顎頭、腱組織の病理組織学的検索を行う。下顎頭軟骨破壊をサフラニンO染色にて観察し、[-1AlaTIMP3]、1,2型コラーゲン、骨形成マーカーを免疫染色する。腱の形態変化とスクレラキシス、SOX9を免疫染色で観察する。これらの研究を進めて、国内外で研究発表を行い、さらなる研究費の獲得を目指す。
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Causes of Carryover |
実験動物の提供を共同研究先から受けたため、新たな動物購入の費用が不要になったため
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[Presentation] Effect of targeted inhibition of aggrecanases for mandibular condylar cartilage degradation in the STR/Ort spontaneous mouse model of temporomandibular joint osteoarthritis2019
Author(s)
OOI K, KANAKIS I, YAMASHITA Y, IDE K, FUTANI Y, KOBAYASHI Y, KOBAYASHI K, JOKAJI R, NAKAMURA H, YAMAMOTO K, SAKAI T, BOU-GHARIOS G, KAWASHIRI S
Organizer
The 6th Asian Academy congress for TMJ