2019 Fiscal Year Research-status Report
スポンジ状の弾性を有する新規炭酸アパタイト骨補填材の開発
Project/Area Number |
18K09815
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
真野 隆充 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (80325125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 直志 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10804156)
宮本 洋二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (20200214)
中川 貴之 広島大学, 病院(歯), 助教 (30456230) [Withdrawn]
栗尾 奈愛 徳島大学, 病院, 講師 (80622141)
石川 邦夫 九州大学, 歯学研究院, 教授 (90202952)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 炭酸アパタイト / コラーゲン / 骨補填材 / 弾性 |
Outline of Annual Research Achievements |
炭酸アパタイト・コラーゲン複合体の作製で,2%コラーゲンでは強度的に弱かったため,以後3%コラーゲンを用いることにした.また,これまで熱架橋時間は4時間としていたが,SEM写真で架橋が不十分と考えられたため,24時間に延長した.X線検査で30 wt%の複合体の顆粒の量は35mgに相当することがわかった. 3%コラーゲンおよび110μmの炭酸アパタイト顆粒を用いて複合体(30 wt%)を作製した.12週齢ウィスター系雄性ラットの頭蓋骨に直径9mmの骨欠損を作製し,3%コラーゲン,炭酸アパタイト顆粒(35mg),炭酸アパタイト・コラーゲン複合体をそれぞれ埋入した.2週および4週後に頭蓋骨を摘出し,μ-CTを撮影した後,パラフィン切片を作製しH-E染色を行い,組織学的観察を行った.コントロールとして骨欠損のみを用いた. μ-CTにおいて2週後,いずれにおいても骨欠損部に少量の新生骨が観察された.顆粒のみでは骨欠損部からの顆粒の飛散が見られた.複合体においては顆粒の飛散は微量であった.4週後,いずれにおいても骨新生は進んでおり,特に複合体においては顕著であった. 組織学的観察において2週後,骨欠損のみと3%コラーゲンでは幅の薄い新生骨が一部にみられた.顆粒のみと複合体では顆粒を取り囲むように骨新生が確認された.なお、コラーゲンは吸収されず残存していた.4週後においては2週後と比較してすべての群で骨新生は進んでいた.また,コラーゲンの吸収は2週後より進んでおり,少量残存するのみであった.骨欠損のみでは幅の薄い新生骨がみられ,骨断端部や中央付近などに骨新生のない部位が見られた.3%コラーゲンでは均等に骨新生がみられるものの,複合体や顆粒と比較してやや薄い新生骨が見られた.顆粒のみと複合体では顆粒を取り囲むように均一な厚さの骨新生がさらに進んでいたが,複合体でもっとも骨新生が良好であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複合体作製について3%コラーゲンを用いて、熱架橋を24時間とすることなどの条件を確定することができた。また、実験動物を用いた埋入実験を行い,初期における骨新生状況を観察した。その結果、顆粒のみの埋入では、顆粒が飛散していたが、複合体では顆粒の飛散を少量にとどめることができた。また、初期ではあるが、複合体の優れた骨形成能が確認され、当該材料の有用性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
12週齢Wistar系雄性ラットを用いて令和元年度と同様に動物実験を行い、長期における組織反応の観察を行う。さらにImage Jを用いて骨欠損内における新生骨量や炭酸アパタイトの吸収率を計測することによって,スポンジ状コラーゲン・炭酸アパタイト複合体の有用性を評価する。また、令和元年度に行えなかった物性評価も行う。
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Causes of Carryover |
令和元年度に予定していた圧縮試験などの物性評価ができなかった。そのため、繰り越した助成金を物性評価の費用に使用する。
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