2018 Fiscal Year Research-status Report
治療後に安全にはがせるダイレクトボンディング剤の開発
Project/Area Number |
18K09855
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
堀内 信也 徳島大学, 病院, 講師 (70263861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜田 賢一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (00301317)
田中 栄二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (40273693)
日浅 雅博 徳島大学, 病院, 助教 (90511337)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ダイレクトボンディング材 / イオン液体 / 剥離 |
Outline of Annual Research Achievements |
矯正歯科治療において歯の表面に様々なアタッチメントを接着するダイレクトボンディング法は、治療終了後のアタッチメント撤去の際に、歯のひび割れやエナメル剥離など、歯面を損傷する可能性がある。このリスクを回避するために、剥がしたいときに剥がすことができる接着剤が理想とされる。本研究では、既存の矯正歯科用ダイレクトボンディング剤にイオン液体を導入し、通電することで簡単に剥離できるダイレクトボンディング用接着剤の開発を目指す。 本研究では研究初年度として、直径の異なるチタン円柱を研磨後、アルミナサンドブラスト処理を行い、歯科用グラスアイオノマー合着材および、レジン強化型グラスアイオノマー接着剤にて合着し試料を作製した。各々の接着剤には、アンモニウム系のイオン液体を一定量混和した。作製した試料は一定時間脱イオン水中に浸漬した後に直流電流を通電し、万能試験機にてせん断応力を測定した。得られた結果として、①歯科用接着剤は、イオン液体を添加し電圧を加えたものは,剥離強度の低下を認めた。②イオン液体添加量が増加すると、流れた電流の最大値は増加し、強度低下も大きくなった。③イオン液体を加えて電圧を加えたものは界面剥離が観察された。④試料を浸漬した脱イオン水の通電性が上昇した。 以上より、歯科用接着剤へのイオン液体の導入により、通電をきっかけとして剥離が容易となることが確認され、また、イオン液体は接着剤より溶出する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
矯正歯科用接着剤にて接着したチタン芯は、イオン液体を介した通電処理によって易崩壊性を示すことが判明したものの、接着剤を浸漬した脱イオン水の電導性が上昇したことにより、イオン液体の溶解性が問題となることが分かった。しかし、電導性については試料によってばらつきが大きいため、浸漬試験を再度継続して行う必要があるため、進捗状況の区分としておおむね順調とした。
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Strategy for Future Research Activity |
試料を浸漬した脱イオン水の電導性が上昇したことにより、イオン液体の溶解性が問題となることが分かった。しかし、電導性は試料によってばらつきが大きいため、浸漬試験を再度継続して行い、後の細胞毒性試験に用いる適正なイオン液体濃度を考察する必要がある。 このため、今後の推進方策として、まずは通電方向を変更した試料を用いて、剥離性と、イオン液体の溶出を再度測定する。すなわち、被験体としてポリカーボネートを用い、イオン液体導入接着剤にて接着し、溶出イオン液体の推定と測定を行う。また、通電方向としては、非電導体を接着することとなるため、接着界面に通電する。また、このことにより、歯科矯正用ダイレクトおボンディング材を想定した条件に近似することが可能となる。
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Causes of Carryover |
比較的高価な試薬であるイオン液体の発注を昨年度末は見送ったために生じたが、本試薬は本年度初めに購入する予定である。
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