2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study on effectiveness of salivary inflammation markers as an indicator of perioperative oral mucositis.
Project/Area Number |
18K09889
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
岸 光男 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (60295988)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 唾液 / 骨髄抑制 / 白血球 / 末梢血 / 化学療法 / 口腔粘膜炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景・目的】がん化学療法による口腔粘膜炎は一次性粘膜炎と二次性粘膜炎に分類される。前者は抗がん剤の直接作用であり、後者は骨髄抑制による白血球の減少が口腔内の易感染状態を誘引するためと考えられている。しかし血中の白血球の減少が口腔の免疫力を低下させる機序は明らかではない。本研究は化学療法開始前(化学療法前)と化学療法施行中(化学療法中)における末梢血と唾液の成分ならびに口腔内状態の評価を行い、それらの変動ならびに関連を検討することを目的とした。 【方法】化学療法を受けた血液腫瘍性疾患患者26名(男性15名、女性11名、平均年齢46.1±13.4歳)を対象とした。唾液中の乳酸脱水素酵素活性(LDH)と血色素量(Hb)、白血球数を測定した。また同日の末梢血中の白血球数とC反応性タンパク質量(CRP)を検査記録から得た。 【結果】調査項目で、化学療法中に有意に減少したのは末梢血と唾液両方の白血球数であった(p=0.002)。さらに、化学療法中には化学療法前に見られなかった唾液と血液の白血球数の相関(ρ=0.630, p=0.001)が認められた。化学療法前後の白血球数の低下量を化学療法前の白血球数で除した白血球数の低下率に末梢血と唾液で相関があった(ρ=0.426, p=0.038)。一方、唾液成分および口腔内状況の関連では、唾液中のLDHと白血球数に、化学療法前、中の両方で関連が見られ、特に化学療法中の関連が強かった(ρ=0.705, p<0.001)。 【まとめ】化学療法による白血球数低下は末梢血のみならず唾液でも生じていることが示された。それらの関連が化学療法中のみに認められたのは、白血球数の減少に個人差があり、血中の減少量が大きい者は唾液でも大きく減少するためと考えられた。このことは口腔の白血球数の減少が骨髄抑制による口腔免疫の低下の機序の1つであることが示唆された。
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Research Products
(2 results)