2019 Fiscal Year Research-status Report
抗酸化物質を用いた酸化ストレス制御による口腔粘膜炎の発症予防・進行抑制効果の解明
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18K09911
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
玉木 直文 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (20335615)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 抗酸化物質 / 活性酸素種 / 抗癌剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は,細胞培養を用いた研究をさらに進行させた。頭頸部癌患者における化学療法時の副作用である口腔粘膜炎の発症を想定し,ヒト表皮角化細胞 (HaCaT 細胞)を用いて,以下の研究を行った。細胞に投与する抗癌剤としては,5-fluorouracil (5-FU)を用いた。去年度の結果から,抗酸化物質として投与するレスベラトロールの濃度は10μMと100μMで,N-Acetyl-L-cysteine (NAC) の濃度は0.1mMと1.0mMとした。 炎症性サイトカインである,Interleukin (IL)-1β, IL-6, Tumor necrosis factor (TNF)- αの発現量を,real-time PCRを用いてmRNAレベルで評価した。HaCaT 細胞に5-FUを投与したとき,24時間後と48時間後において,いずれのサイトカインも統計学的有意に増加した。レスベラトロールを投与した時にこれらのサイトカインレベルは有意減少したが,NAC投与ではほとんど変化がなかった。このことから,レスベラトロールに抗炎症作用があることが認められた。 活性酸素種の産生を,蛍光染色法を用いて評価した。その結果,HaCaT 細胞に5-FUを投与したときに有意に増加した活性酸素種の発現量は,レスベラトロールやNACの投与によって有意に減少していたことが分かった。このことから,レスベラトロールとNACに抗酸化作用があることが認められた。 今後,抗炎症作用と抗酸化作用のメカニズムについて,さらなる研究を進めていく予定である。また,アポトーシスについても評価を行うことを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は,HaCaT細胞を用いて,抗癌剤投与時に炎症性サイトカインの発現と活性酸素種の産生量が増加することを示した。またレスベラトロールには抗炎症・抗酸化作用があるが,NACには抗酸化作用のみで抗炎症作用がないことが分かるなど,研究は順調に進行している。さらに,アポトーシスの評価やELISAを用いたタンパクレベルでの炎症性サイトカイン発現量の評価についても研究を始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は,HaCaT細胞を用いた研究をさらに進めていく予定である。炎症性サイトカインの発現量においては,ELISAを用いてタンパクレベルで検討する。また,抗炎症・抗酸化性作用のメカニズムについて,ウェスタンブロットや蛍光染色を用いて評価を行う予定である。さらに,アポトーシスの評価も行う予定であり,その実験方法を検討している。 これらのデータが揃った後に論文を作成し,英文雑誌に投稿予定である。
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Causes of Carryover |
2020年3月に,Washington D.C. で開催される国際学会に参加予定であったが,COVID-19の影響で直前に開催中止となった。そのため,次年度使用額が生じた。次年度請求額と合わせて,旅費に使用する予定である。ただし,COVID-19の影響で2020年度の開催が中止となる学会等が増加しているため,物品費としても使用する予定である。
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Research Products
(3 results)