2019 Fiscal Year Research-status Report
多能性幹細胞由来の生殖細胞やヒト胚の取扱いをめぐる民意の把握と議論の生成
Project/Area Number |
18K10000
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 みさお 京都大学, iPS細胞研究所, 特定教授 (50396701)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | iPS細胞 / 生殖細胞 / ヒト胚 / 生命倫理学 / 質問紙調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
(A)ヒト生殖細胞作製に関する意識調査:一般市民による当該研究に対する許容度、期待・懸念について明らかにすることを目的とする。具体的には、①ヒト生殖細胞→②受精卵→③子供の出産という一連の研究過程について、どの段階まで許容できるか、自分の細胞の提供をしたいか、何に期待・懸念を示すのか等について尋ねた。本年度は調査会社を介して無作為に抽出された一般市民3,096名の回答を分析し、約半数が受精卵の作製は容認するが、子供の出産を許容するものは約1/4であったこと、基礎研究に期待が高い一方で、臨床応用やエンハンスメントについては懸念が強いこと等が明らかになった。現在、投稿準備中である。 (B)ゲノム編集技術に関する意識調査:一般市民とゲノム編集研究者による当該研究に対する許容度、期待・懸念について明らかにすることを目的とする。具体的には、①ヒト胚への編集→②子供の出産という一連の研究過程について、どの段階まで許容できるか、自分の細胞の提供をしたいか、何に期待・懸念を示すのか等について尋ねた。本年度は調査会社を介して無作為に抽出された全国20~70代以上の男女4,424名と、研究で実際にゲノム編集を用いる研究者98名を対象に、無記名自記式質問紙調査を実施し、データ収集と分析までを実施した。 (C)人工生殖細胞やゲノム編集の倫理的課題に関するアウトリーチ・プログラムの開発:上記調査で作成した質問紙や資料をもとに、講義と小グループによるディスカッションで構成される、一般市民を対象にした参加・体験型学習プログラムを開発することを目的とする。本年度は一般市民を対象にした講演等において、上記調査で用いた質問紙や資料のうちでも生殖細胞作製に関するものを利用し、90分の教材を作成し、講義とディスカッションを実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2種類の質問紙調査に関して、データ分析がほぼ終了し、うち一つについては投稿準備に至っている。また、調査の際に用いた資料を使って、講義のひな形も作成できている。
|
Strategy for Future Research Activity |
(A)ヒト生殖細胞作製に関する意識調査:来年度は論文投稿から学術誌掲載を目指す。 (B)ゲノム編集技術に関する意識調査:来年度は論文投稿から学術誌掲載を目指す。 (C)人工生殖細胞やゲノム編集の倫理的課題に関するアウトリーチ・プログラムの開発:生殖細胞作製に関する参加・体験型学習プログラム(90分程度)をファイナライズし、ゲノム編集技術に関しても、可能な限り、同様のプログラムを作成し、パイロット的な講義とディスカッションを実施する。
|
Causes of Carryover |
予算金額を概ね適切に使用したが、端数が生じたため。
|
Research Products
(9 results)