2020 Fiscal Year Research-status Report
二酸化塩素を用いた院内肺炎の予防効果と安全性の検討
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18K10012
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
大日方 薫 順天堂大学, 医学部, 教授 (10204281)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 院内肺炎 / エアロゾル感染 / 二酸化塩素 / 環境感染対策 / 薬剤耐性菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
低濃度二酸化塩素ガスおよび二酸化塩素水溶液による病院内のエアロゾル感染および接触感染の抑制効果、安全性について検討した。院内肺炎発症のリスク因子の評価基準に基づきハイケア病室に二酸化塩素ガス発生装置を設置し、水溶液も用いて予防効果、設置基準、安全性について詳細に検討した。 まず小児病棟ハイケアユニットに入院、あるいは入院中の気管切開設置、人工呼吸器装着中の患児を対象に気道感染症の原因微生物および保菌微生物のアクティブサーベイランスを行った。検査としては一般細菌培養検査に加え、マルチプレックスPCRによる網羅的解析とアシネトバクター・バウマニ、メチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)、多剤耐性緑膿菌の監視培養を定期的(1/月)に実施した。また院内肺炎の発症時には同様の喀痰の微生物検査に加えて血液培養、尿培養、便培養など各種培養を行い、原因微生物、感染部位の特定を行った。 病室内に低濃度二酸化塩素発生ゲル剤を設置し、空間内の二酸化塩素ガス濃度を信頼性の高い機器を用いて経時的に測定した。有効かつ安全濃度である0.01ppmvを効果的に維持が出来るゲル剤の設置場所、個数、交換のタイミングについて検討した。さらに室内にある物体消毒については二酸化塩素水溶液を用いた。 研究結果として、アシネトバクター、MRSA、多剤耐性緑膿菌の保菌状態に明らかな変化は認めなかったが、院内肺炎の頻度については統計学的有意差はなかったものの、低下傾向を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年1月からの新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、入院病棟の再編成が行われ、COVID-19の対応に追われた。さらにCOVID-19以外の流行性感染症が激減しており、対象患者および気道感染症の流行が2019年に比して大幅に減少した。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスに対する二酸化塩素の効果について協力機関に依頼して検討する。さらに変異株についても検討する予定である。 ハイケア病室内にHEPAフィルターを設置し、空間に浮遊する微生物を捕獲し、網羅的細菌叢解析を行い、エアロゾル、空気感染の微生物について明らかにする。 低濃度二酸化塩素ガスによるHEPAフィルターに捕獲された微生物の殺菌、低減不活性化の効果について検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により2020年は学会の中止、延期が相次いだため、海外出張は中止した。
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Research Products
(4 results)