2023 Fiscal Year Annual Research Report
Air pollution and the health effects in South Asia: Comparison between urban and rural area and assessment of prevention with mask
Project/Area Number |
18K10059
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
梅村 朋弘 愛知医科大学, 医学部, 講師 (10401960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺崎 寛章 福井大学, 学術研究院工学系部門, 講師 (40608113)
大西 一成 聖路加国際大学, 専門職大学院公衆衛生学研究科(公衆衛生大学院), 准教授 (50596278)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 南アジア / ベンガル地域 / 大気汚染 / 室内空気汚染 / アレルギー / 気道炎症 / 呼気中一酸化窒素(FeNO) / 児童 |
Outline of Annual Research Achievements |
インドやバングラデシュをはじめとする南アジアは大気汚染が深刻であり、乾季に最も悪化し、雨季に改善される。現地では大気汚染による健康影響が懸念される一方で、マスク等で自己防衛をする住民はほとんどいない。そこで、本研究では、乾季と雨季にインド・ベンガル地方の都市部と農村部において大気汚染が人々の健康に及ぼす影響を調査することで大気汚染による健康影響の地域差や季節差を検証し、さらに介入(マスク着用)による健康状態の改善を評価することを目的とした。
本研究はインド西ベンガル州の都市部および農村部に住む貧困層の児童を対象として実施した。雨季になると都市部、農村部ともに症状は緩和されるものの、気道炎症の指標である呼気中一酸化窒素(FeNO)の値に季節差はなかった。また、大気汚染レベルは地域のAQIという指標で評価したが、大気汚染が気道炎症を引き起こす主要因とすると、雨季都市部のAQIは乾季農村部のAQIより低いため、都市部雨季のFeNOは農村部乾季のそれより低いはずである。しかし、本研究では、都市部雨季のFeNOは農村部乾季のFeNOより高かった。このことから、大気汚染のみならず、一年を通してほぼ同じようなレベルの曝露が推測される室内空気汚染の影響も受けていることが考えられる。室内空気汚染としては、現地で調理用燃料に使われているバイオマス由来の室内空気汚染が考えられる。調理は主に女性の仕事であるため、今後は女性(特に主婦)の健康影響も調べる必要がある。
乾季と雨季の調査後、介入を実施する前にCOVID-19が世界的に流行し、海外フィールドワークができなくなってしまった。また、これを機に現地でもマスク着用をする人が散見されるようになった。さらに、渡航再開までに3年ほど経ってしまったことで、対象児童が成長しベースラインと比較ができなくなってしまった。こうした理由からマスク介入には至らなかった。
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