2018 Fiscal Year Research-status Report
マルチプレックスRT-PCR法による包括的な体液の識別検査法の開発
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18K10138
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
阿久津 智子 科学警察研究所, 法科学第一部, 室長 (50356151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻田 宏一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (10334228)
横田 勲 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (20761414)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 体液 / mRNA / 包括的検査法 / マルチプレックスRT-PCR法 / 統計解析モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、前研究課題の成果である、血液、唾液あるいは精液に対してそれぞれターゲット遺伝子3種およびリファレンス遺伝子1種を用いて構築したsingle body fluid(SB) Multiplex RT-PCR系について、フラグメントアナライザによる検出に向けてプライマー配列の一部を改変した。それらを用いて各体液試料を増幅し、プライマー配列の改変が非特異増幅、増幅バランス及び他の体液に対する交差性のいずれにも影響しないことを確認した。 つづいて、血液、唾液および精液に対するSB Multiplex RT-PCR系を統合し、複数種の体液に対するmulti-body fluids(MB)Multiplex RT-PCR系を構築した。MB Multiplex RT-PCR系における非特異増幅や増幅バランスの乱れについて、チップ電気泳動で確認したところ、プライマーダイマーが増加していたものの、非特異増幅は認められなかった。また、唾液に対するターゲット遺伝子の増幅が他の遺伝子と比較して低かったが、唾液中のRNA量が他の体液と比較して少ないことが原因と考えられたため、プライマー濃度の調整は行わないこととした。増幅サイズが近い一部のターゲット遺伝子は、チップ電気泳動法では分離できず、フラグメントアナライザでも分離困難となる可能性があるため、フラグメントアナライザによる検出に向けて、ターゲット遺伝子9種およびリファレンス遺伝子1種を数種の蛍光色素で標識することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、2018度中に①個々の体液に対するSB Multiplex RT-PCR法の特異性の検証、②複数種の体液に対するMB Multiplex RT-PCR法の構築、③MB Multiplex RT-PCR法のフラグメントアナライザによる検出の最適化に着手する予定であったが、③については、研究代表者の所属機関における業務が多忙であったため、着手することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、2018度中に別課題で構築した膣液のSB Multiplex RT-PCR系について、血液、唾液および精液のMB Multiplex RT-PCR系に統合する。 つづいて、2018年度に着手できなかったフラグメントアナライザによる検出の最適化について、研究代表者の所属機関に新たに整備される機器を用いて行う。蛍光プライマーとキャピラリー電気泳動による検出は高感度であるため、オフスケールや別の蛍光検出波長へのプルアップが生じることが予測されるが、PCR産物の希釈やPCRサイクルの調整等によりその改善を図る。 さらに、フラグメントアナライザによる解析結果に統計解析モデルを適用することで体液種の判定が可能か、標準的な各種体液試料を用いて評価する。
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Causes of Carryover |
2018年度に、MB Multiplex RT-PCR法のフラグメントアナライザによる検出に使用する試薬を計上していたが、研究代表者の所属機関における業務が多忙であったため着手することができず、また、解析用コンピュータの費用を計上していたが、所属機関で整備されたコンピュータを使用したため、その分が次年度使用額となった。 2019年度は、統計解析に必要なソフトウェア購入のための備品費、フラグメントアナライザによる検出の最適化に要する消耗品費、国際学会における成果発表のための旅費、参加費として使用する計画である。
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Research Products
(2 results)