2020 Fiscal Year Research-status Report
The effect of habitual stretching on prevention and improvement of diabetes and arteriosclerosis
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18K10841
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
永澤 健 畿央大学, 健康科学部, 教授 (80390566)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ストレッチング / 血糖値管理 / 糖尿病予防 / 動脈硬化 / 食後血糖値 / 運動処方 / 運動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
ストレッチングの運動時間(運動に要する時間)が同じでも,伸長する部位を多くしてストレッチ刺激が加わる筋量を増加させることで血糖低下作用に違いが生じるという仮説を検証した.上肢のみと全身の2種類の静的ストレッチングのプログラムを食時直後に実施し,血糖低下作用に違いがみられるかどうか検討した.健常成人女性13名を対象に,安静条件,上肢ストレッチング条件,全身ストレッチング条件の計3条件を実施した.各実験条件において,血糖値,疲労感および吐き気のVAS(Visual Analog Scale)を安静時,食後15分,30分,45分,60分,90分,120分の時点で測定した.15分間の上肢のみあるいは全身の静的ストレッチング(上肢,下肢,体幹)を試験食(エネルギー652 kcal,糖質75 g)の摂取終了直後に実施した.食後15分目の血糖値は,上肢ストレッチング条件と比べて全身ストレッチング条件が有意に低値を示した(p<0.05). 食後30分目以降の血糖値には条件間で有意な差を認めなかった.安静時から食後15分の血糖値の増加量は,安静条件と上肢ストレッチング条件に比べて全身ストレッチング条件が有意に小さかった(p<0.01).血糖値上昇曲線下面積は,全身ストレッチング条件が上肢ストレッチング条件よりも有意に低値を示した(p<0.05).疲労感および吐き気のVASは全ての条件で時間経過に伴う有意差がなく,条件間にも有意差がなかった.以上,食事直後に行う全身のストレッチングには,血糖値の上昇を抑制する作用があることが示された.一方,上肢のみのストレッチングには食後の血糖値上昇の抑制作用を認めなかった.ストレッチングの運動時間が同じでも,伸長する部位を多くしてストレッチ刺激を与える筋量を増加させることで,ストレッチングによる食後の血糖値上昇抑制作用が得られるものと考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の通り,習慣的に実施可能なストレッチングのプログラムとして,伸長させる筋群が多い全身のストレッチングが食後の血糖値を低下させる作用があることを明らかにすることができた.予定した実験の一部は次年度に延期させたものの、おおむね研究は順調に進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
食後に習慣的に実施できるストレッチングプログラムの実用化に向け,本年度は全身ストレッチングによる食後の血糖値上昇抑制作用を明らかにしてきた.ストレッチングが血管機能に与える効果については次年度も引き続き検証する.ストレッチングは自宅でも一人で行うことができる運動様式である.こうしたストレッチングの利点にも着目して,次年度に計画している実験を遂行することで,習慣的なストレッチングによる糖尿病と動脈硬化症予防の効果を解明する.
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Causes of Carryover |
当初の本年度の実験計画よりも消耗品費と旅費を抑えることができ,さらに予定していた実験計画に変更が生じたため次年度使用額が生じることになった.未使用額は次年度に実施予定の実験の試薬および消耗品の購入、旅費に充てる.使用計画として血液分析用の試薬、運動器具等の消耗品費および実験に参加する被験者謝金、論文投稿費用を計上している.旅費として研究打合せのための費用を計上している.
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Research Products
(3 results)