2019 Fiscal Year Research-status Report
老人性低体温症モデルマウスを用いた骨格筋の新規熱産生メカニズムの解明
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18K10994
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中尾 玲子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (20582696)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ケトジェニックダイエット / 熱産生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究でターゲットとするSlc25a25分子は、膜間スペースにEF hand領域を持ち、細胞内のカルシウムイオン濃度に応答してATPをミトコンドリアマトリクス内に取り込む機能を持つと考えられている。平成30年度に作成した、当該分子の機能に重要なEF hand領域を挟み込むようにLoxp配列を挿入したマウスと、Myf5プロモーター下流にCreER遺伝子を発現するマウスと交配し、骨格筋特異的Slc25a25欠損マウスの作成を試みた。このマウスにタモキシフェン投与すると骨格筋で発現したCreERが核内に移行しLoxp配列を認識・組換えを起こすはずだが、作成したマウスにタモキシフェンを腹腔内、または静脈内に投与しても骨格筋における組換えアレルはごくわずかな量しか検出できず、Slc25a25遺伝子の発現量も減少しなかった。そこで、ドキシサイクリン投与時にActa(Human skeletal actin)プロモーター下流にCreを発現するマウスとSlc25a25 floxマウスを交配し、骨格筋特異的Slc25a25欠損マウスを作成した。このマウスにドキシサイクリンを投与すると、骨格筋におけるSlc25a25遺伝子の発現が著しく減少した。一方、心臓や褐色脂肪組織におけるSlc25a25の発現は維持されており、骨格筋特異的Slc25a25欠損マウスを樹立できたことを確認した。これらのマウスの普通食摂取時の体温や体重は野生型と差が無かった。令和2年度は計画通り、低栄養状態を誘導するケトジェニックダイエットを摂取させたときの表現型を重点的に評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Myf5 CreERマウス由来の欠損マウスがタモキシフェン投与に応答せず、タモキシフェンの投与期間、投与量、投与経路などの条件を検討したが、Slc25a25遺伝子の欠損を確認できなかった。そのため、Creリコンビナーゼ発現マウスの系統をMyf5 CreERマウスからActa Creマウスに変更して交配を行ったので欠損マウスの樹立に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度、ドキシサイクリン投与時にActa(Human skeletal actin)プロモーター下流にCreを発現するマウスとSlc25a25 floxマウスを交配し、骨格筋特異的Slc25a25欠損マウスを作成できた。予備試験では、通常の飼育環境下におけるSlc25a25欠損マウスの体温や体重は野生型と差が見られなかった。Slc25a25が局在するミトコンドリア関連遺伝子の発現量も野生型と同程度であった。通常の骨格筋においてSlc25a25遺伝子は活動開始時間帯をピークとした日周発現を示すが、欠損マウスではSlc25a25発現リズムが消失し、どの時刻においても発現量が減少しており、Slc25a25発現量の減少率が最も大きい活動開始時間帯に何らかの表現型が表れると予想している。令和2年度は、低栄養条件下での当該マウスの活動開始時間帯の表現型(体温、熱産生関連遺伝子の発現量など)を重点的に解析する予定である。
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Causes of Carryover |
使用予定だったマウスの作成が遅れ、摂食試験に用いる飼料を購入しなかったため。次年度購入し、使用する予定である。
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Research Products
(4 results)