2019 Fiscal Year Research-status Report
筋線維組成を規定する遺伝子多型は生活習慣病発症を予測するバイオマーカーとなるか
Project/Area Number |
18K11057
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
後藤 佐多良 順天堂大学, スポーツ健康科学研究科, 客員教授 (10012650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 仁 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 学振特別研究員(PD) (00794819)
福 典之 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 先任准教授 (40392526)
宮本 恵里 順天堂大学, スポーツ健康科学研究科, 特任助教 (00793390)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アスリート / 競技種目 / 高血圧 / 筋線維組成 / 遺伝子多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目である本年度は、初年度に実施したアスリートにおける競技種目が安静時の血圧に及ぼす影響(検討1)および現役時代の競技種目が将来の高血圧の発症 に及ぼす影響(検討2)について、研究対象者を増やし、解析を行った。検討1においては、若年アスリート403名を対象に循環機能の測定を行い、持久系<混合系<瞬発系の順に収縮期血圧が高くなることを確認した。また、これらの関連は体格指数であるBMIで補正後も有意な関連が認められた。検討2においては、引退後のアスリート2141名を対象として現役時代の競技種目と高血圧の発症率を調査した。高血圧の罹患率は持久系<混合系<瞬発系の順で高くなることが示された。しかし、現在のBMIや喫煙習慣、運動習慣などで補正したリスク比を算出すると、競技種目と高血圧の発症リスクには有意な関連は認められなかった。これらの結果から、アスリートにおける競技種目は現役時代の血圧には影響を及ぼすが、将来の高血圧の発症には関連しない可能性が示された。 我々はこれまでにACTN3 R577X多型およびACE I/D多型の組み合わせが筋線維組成を予測することを明らかにしており、本年度はこれらの遺伝子多型と高血圧の発症リスクの関連を元アスリート272名において予備的に検討した。その結果、現在の運動習慣がない対象者において、遅筋線維の割合が低い遺伝型を有する者では遅筋線維の割合が高い遺伝型を有する者に比べて、高血圧の発症リスクが高い可能性が示された。今後の検討では、対象者数を増やすとともに、種々の交絡因子での補正などを実施して本結果を検証していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、若年アスリートにおける検討および引退後アスリートにおける検討の両者において、対象者数を大幅に増加することができた。さらに、対象者の一部においては、筋線維組成に関連する遺伝子多型と高血圧の発症についても検討することができたことから、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、現役アスリートコホートの対象者数の増加だけでなく、元アスリートを対象とした大規模調査を実施し、同意が得られた対象者についてはDNA抽出用の唾液サンプルの回収を実施した。次年度は、これらの唾液サンプルからDNAの抽出および遺伝子多型の解析を行い、高血圧を含めた生活習慣病やその危険因子との関連を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、初年度の研究結果の信頼性を高めるために研究対象者数の増加に尽力し、その成果として、研究対象者数が初年度の約2倍近くにまで増加した。これに伴い、高額な試薬が必要となる遺伝子多型の解析などが当初の予定よりも少なかったため、次年度使用額が生じた。次年度は、これまでに回収したサンプルの遺伝子多型解析を中心に実施する予定であり、次年度使用額も含めた研究費が必要となると考えている。
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Research Products
(17 results)
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[Journal Article] The association of HFE gene H63D polymorphism with endurance athlete status and aerobic capacity: novel findings and a meta-analysis2020
Author(s)
Semenova EA, Miyamoto-Mikami E, Akimov EB, Al-Khelaifi F, Murakami H, Zempo H, Kostryukova ES, Kulemin NA, Larin AK, Borisov OV, Miyachi M, Popov DV, Boulygina EA, Takaragawa M, Kumagai H, Naito H, Pushkarev VP, Dyatlov DA, Lekontsev EV, Pushkareva YE, Andryushchenko LB, Elrayess MA, Generozov EV, Fuku N, Ahmetov II
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Journal Title
European Journal of Applied Physiology
Volume: 120
Pages: 665-673
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] アスリートの競技特性が将来の高血圧発症に及ぼす影響-J-Fit+ study-2019
Author(s)
熊谷仁, 染谷由希, 吉岡将輝, 宮本恵里, 崔英珠, 寶川美月, 中村美幸, 河村剛光, 鈴木宏哉, 町田修一, 内藤久士, 前田清司, 福典之
Organizer
第74回日本体力医学会
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