2018 Fiscal Year Research-status Report
可視聴型情報ハイディングを応用したメディアアートに基づく新世代情報伝送技術の開発
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18K11609
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Research Institution | Tokyo National College of Technology |
Principal Investigator |
小嶋 徹也 東京工業高等専門学校, 情報工学科, 教授 (20293136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鵜木 祐史 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (00343187)
松元 隆博 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (10304495)
田中 晶 東京工業高等専門学校, 情報工学科, 教授 (20578132)
姜 玄浩 東京工業高等専門学校, 電子工学科, 准教授 (40509204)
青木 直史 北海道大学, 情報科学研究科, 助教 (80322832)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 情報ハイディング / メディアアート / 情報通信方式 / 電子透かし / デジタルサイネージ / スネアドラム / 映像 / 音楽 |
Outline of Annual Research Achievements |
映像や音楽の一要素を秘密のメッセージで構成し,情報伝送を実現するため,音楽や映像の構成要素となり得る情報の新しい埋め込み方式を検討した。平成30年度は,3通りの新しい方式について検討した。 一つ目は,音楽についてはメッセージを用いて打楽器音を構成し,楽曲と自然に調和させて鳴動させ,通信する方式である。これはメッセージを変調した符号系列を用いて,スネアドラム音を構成するというもので,計算機上の実験により,その伝送特性を評価した。その結果,特定の悪意ある攻撃を除けば,耐攻撃性も有し,誤りなく情報伝送が可能であることが示された。 二点目は,映像の切り替わりでフェードイン・フェードアウト効果を用いて情報伝送する方式である。具体的には,フェードイン・フェードアウトの際に,バーコードや特定のパターンを使用することで,これらのパターンに情報を持たせるというものである。計算機上での実験の結果,提案手法での情報伝送が有効であることが示された。 三つ目は,動画のいくつかのフレームにQRコードのような二値マーカを付し,映像をスマートフォンなどで撮影した際に,映像の傾きなどを補正し,埋め込まれた情報を正確に抽出する方法である。実際に映像をディスプレイに表示し,これをスマートフォンで撮影するという実験を行ない,埋め込まれたメッセージが正しく再生されることを示した。 作成されたステゴ楽曲・ステゴ映像を公開し,無記名のアンケート調査により客観評価を行なったり,専門家に主観評価を依頼したりする取り組みまでは進められなかったため,これらについては次年度以降の課題とすることとした。 研究成果は国内外の学会等で発表を行なった。また,音楽を用いた電子透かし方式については査読付き論文として投稿し採択され,2019年度内の出版が決定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
音楽や映像の一部を秘密のメッセージで構成し,人間の視聴覚に自然に認知されるように再生することで情報伝送するための新しい方式を3つ提案し,その特性を評価することができた。当初の予定に含まれていたステゴ楽曲やステゴ映像の主観および客観評価までは研究を進められなかったため,これについては次年度以降の課題とした。既にステゴ楽曲や映像のサンプルはできているため,次年度の前半など適当な時期にこれらの評価を行なうことが可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は,音楽や映像を用いた可視聴型の情報ハイディング方式に関する検証をさらに進めるとともに,作成したステゴ楽曲,ステゴ映像の主観および客観評価を行なう。必要に応じて,新しい方式の提案も行ない,スピーカやディスプレイで音楽や映像を放送し,アナログ伝送を行なった場合の性能についても検証する。さらに,ステゴ楽曲や映像を効率的に作成・編集するソフトウェア、およびスマートフォン上で動作する受信用アプリを開発する。 2020年度は,当初の計画通り,前年度までに開発された方式の性能を実用的な環境下で評価するため,学外のショッピングモールなどでステゴ楽曲をBGMとして放送したり,作成されたステゴ映像をデジタルサイネージを用いて放送したりして,適正な通信が行えるかどうかを実証する実験を行なう。実験の結果,改良すべき点が明らかになった場合は,随時改良を行なう。 研究成果は随時論文や口頭発表の形式で発表するほか,平成32年度末に研究成果報告会を開催し,研究代表者・分担者による成果報告に加え,外部の有識者を招へいして講演を依頼する。研究成果は製本し,関係する研究者らに配布するほか,ウェブページでも公表する。
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Causes of Carryover |
(理由) 平成30年度の研究計画では,新しい情報ハイディング方式の開発とその特性評価のみならず,作成した楽曲や映像データの主観評価を行なうことを予定していた。別途記述したとおり,これについては次年度以降の課題としたため,一部の研究成果については,次年度以降に国内および海外の研究会・国際会議等で成果報告することを計画している。また,主観評価は専門家に依頼し,そのために謝金を支払うことを計画していたため,これも次年度以降に繰り越すこととなった。 (使用計画) 繰り越した金額のうち,一部は楽曲や映像データの主観評価を依頼する際の謝金として次年度の前半に使用することを計画している。また,これに関する研究成果等の公表のため,国内および海外旅費や論文投稿料として執行することを計画している。
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Research Products
(8 results)