2023 Fiscal Year Annual Research Report
Analyses of selective cytotoxicity of the anti-diabetic biguanide drug, Metformin, in solid tumor specific microenvironment
Project/Area Number |
18K11640
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
田野 恵三 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 客員研究員 (00183468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増永 慎一郎 大阪公立大学, 研究推進機構, 客員研究員 (80238914)
川西 優喜 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70332963)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | DNA損傷修復 / ビグアノイド薬剤 / 染色体断裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニワトリDT40を用いた無グルース下メトフォルミンの致死作用の解析を行ってきた(PLoS One. 2017:e0185141)。令和元年度から、ヒト細胞での展開の為にヒトTK6細胞の実験系に移行し、昨年、TK6 SPRTN 欠損細胞がアザシチジンに高感受性とDNAタンパククロスリンク型の損傷を誘発することを報告した(Chem.Res. Chem Res Toxicol. 2059-2067, 2022)。TK6 SPRTN欠損細胞がメトフォルミンに対しても感受性を示し、さらに別のビグアノイド薬剤であるフェンフォルミンに対しても感受性を示した。これはビグアノイド薬剤がアザシチジンと同様にDNAクロスリンクタイプの損傷を誘発することを示す。これらの結果を踏まえTK6細胞の種々のDNA損傷修復欠損細胞パネルを用いて、ヒト細胞に対するメトフォルミンの作用の解析を行った。感受性解析の結果、1)SPRTN欠損細胞以外にも、トポイソメラーゼ1と2の異常なDNAクロスリンクの回避に関わるTDP1とTDP2遺伝子の2重欠損細胞も高い感受性を示した。2)DNA架橋損傷修復に関わるFANC経路欠損細胞のFANCD2とFANCC欠損細胞が無グルコースでメトフォルミンに高い感受性を示した。3)染色体断裂頻度は、無グルコース下でメトフォルミン処理されたSPRTN欠損細胞において野生株と比べて優位に上昇していた。以上の結果は、メトフォルミンが腫瘍特異的環境下でDNAクロスリンクタイプの損傷を誘導し、それがDNA 複製期にDNA架橋型損傷へとつながり、最終的に細胞死を直接導く染色体断裂を引き起こすことを示す。これらの結果は、ビグアノイド系薬剤が腫瘍内環境特性によるDNA損傷由来の細胞死に重要な役割を果たすことを示した。
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