2020 Fiscal Year Research-status Report
竪型ストーカ式焼却炉内での窒素酸化物の低減メカニズムの解明と脱硝技術への応用
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18K11689
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| Research Institution | Hokkaido University |
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Principal Investigator |
黄 仁姫 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (70447077)
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2018-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | ごみ焼却排ガス処理 / 竪型ストーカ式炉 / 窒素酸化物 / アンモニア / シアン化水素 / 自己脱硝 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではごみ層内の還元雰囲気を維持しながら窒素酸化物(NOx)の自己脱硝反応に有利な条件で運転を行っている竪型ストーカ式焼却炉をモデルに，ごみ層と燃焼室でのNOxおよびその中間生成物（NH3、HCN）の酸化・還元メカニズムを解明し，NOx低減に適した燃焼制御方法を導出することを目的とする。
実施設においてごみ層から発生した中間生成物の濃度測定値を参考にNOx生成を予測した。中間生成物＋O2系において800℃以下では過剰量の酸素が存在しても中間生成物は分解しない。HCNはその一部が酸化し，850～900℃では主にN2Oに，950℃以上ではNOに変換した。しかし，NH3は同条件下でほとんど分解せず，O2濃度の増加もHCNの酸化のみ影響し，NH3の酸化には影響しなかった。一方，中間生成物＋O2＋可燃ガス（CO, H2, CH4）系では挙動が大きく変わる。O2のみでは分解されなかったNH3がCOとH2の共存下でNOに酸化し，同濃度のHCNから生成するNOx濃度より高くなった。CH4共存時は1000℃まで中間生成物の酸化は起らなかったが，1100℃以上でCH4の完全燃焼に必要なO2濃度より過剰量のO2が存在すると，NO濃度が増加することが確認された。
主な中間生成物の挙動に差が見られたことから，ごみ層での中間生成物の発生特性を明確にすることが竪型ストーカ炉でのNOx挙動を知るための重要なポイントてあるといえる。しかし，過去に入手したごみ層での中間生成物の濃度測定値は，投入ごみの組成や運転条件との関係が明確ではなかった。そのため，ごみ層での温度，酸素濃度等を反応条件としたごみ層模擬実験を行い，中間生成物の発生特性を明らかにすることとした。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度は気相化学反応の解析プログラムとGRI-Mech の素反応式，それから実施設でのガス濃度実測値・文献値を用い，燃焼室から再燃焼室までの温度，酸素濃度を模擬した条件下で，NOxの生成濃度を予測した。その続きとして再燃焼室を模擬した条件でのガス燃焼実験を行い，中間生成物の酸化・還元挙動を調べ，シミュレーション結果との比較分析を行う予定であったが，同じ運転条件でも同濃度のNH3，HCNからNOx生成濃度に差が見られるなど，ごみ層での中間生成物の発生特性を調べることが最終的にNOx生成・低減に重要な影響を及ぼすと判断した。しかし，燃焼実験に必要な反応器，制御装置等の準備は進んでいるものの，実験進行が予定より遅れているため，当初の予定より研究期間を延長し，実験を実施することとした。
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| Strategy for Future Research Activity |
ごみ層と燃焼室を各々のバウンダリーとした室内実験を行う。ごみ層模擬実験ではRDF（refuse derived fuel）を模擬ごみとして用い，燃焼空気比と温度を運転条件として，主な中間生成物であるHCNとNH3の発生特性を調べる。運転条件は竪型ストーカ炉と従来のストーカ式炉を参考に設定し，竪型ストーカ炉での運転条件による中間生成物の発生特徴を定量的に示す。本実験では共存可燃ガス類の発生濃度も同時に調査し，次の再燃焼室の模擬実験において中間生成物の酸化・還元に影響を及ぼす重要因子としてデータを確保する。
再燃焼室でのNOx挙動は実験と素反応を用いた理論解析を並行して調べる。反応条件は再燃焼室の温度，燃焼空気比，共存可燃ガス濃度とし，実験と理論解析結果の相合性を確認する。以上の調査および実験から得られた結果を総合的に検討・解析し，竪型ストーカ式炉内でのNOx生成・低減特性を明らかにする。また，竪型ストーカ式焼却炉においてNOx低減が可能なさらなる燃焼制御方法を検討する。
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| Causes of Carryover |
当初の計画より研究期間を1年間延長し，ごみ層模擬実験を実施することとした。そのために必要な標準ガス，試薬類等の消耗品の購入に，次年度使用分として生じた予算を充てる予定である。
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