2019 Fiscal Year Research-status Report
ワインツーリズムの空間的展開と地域の変容に関する総合的研究―スペインを事例にして
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18K11887
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
畠中 昌教 久留米大学, 経済学部, 准教授 (40461470)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スペイン / ワインツーリズム / 持続可能性 / ワイン生産地域 / 原産地呼称制度 / バスク州 / アストゥリアス州 / 景観 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は国内での先行研究や二次資料などの収集と整理、MOOCを通じたGIS・QDA・統計パッケージの訓練を行った。また、令和2年2月の3日間、Critical Tourism Studies Asia-Pacific(和歌山市)というツーリズム関連セミナーに出席し、アジアを中心とした観光分野の研究の最新動向の把握、研究者・専門家との意見交換を行った。 さらに、令和2年3月の19日間、スペインのマドリッド州、バスク州ビスカヤ県・アラバ県、アストゥリアス州の州都・県都、事例に設定していたワイン生産地域の中心都市において、ワインツーリズムと持続可能性に関連する先行研究、一次資料の収集を行った。利用したのはそれぞれの調査地における大学図書館、地方政府附属図書館、州・県立図書館、公文書館、観光オフィス、ワイン生産地域の原産地呼称統制委員会である。これらの対象地の中で、バスク州、アストゥリアス州は前年度あまり調査ができなかったことから、優先的に時間を割り当てた。また、上記対象地の州・県庁、公文書館、大学、州・県・市の観光オフィス、原産地呼称統制委員会、商工会議所、ワインツーリズム関連団体において、担当者や専門家に対する聞き取り・意見交換を試みた。 その結果、日本からの情報収集では得られなかった先行研究や研究者の情報が得られ、ワインツーリズム展開の経緯と範囲、関連団体間のつながり、持続可能性との関係、最近の変化などについても成果が得られた。 以上のことから、3月初旬よりスペインにおいて新型コロナウイルス感染拡大が始まったため、現地調査における資料収集・聞き取りは困難を伴っており予定通りに進んだとはいえず、また得られた情報の具体的な整理・分析はこれからであるものの、前年度の調査に加えて有用な情報・知見が得られ、今後研究を進めていく上で有意義であったといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和元年度は、事例となる州・市において一次資料収集、聞き取り、参与観察などを行い、各対象地におけるワインツーリズムの空間的展開と地域への影響を確認する予定であった。 このために、当該年度末に現地調査を実施したものの、3月初旬より新型コロナウイルス感染拡大が始まり、スペイン滞在中に状況は予想以上に急速に悪化した。マドリッド州とバスク州ではアポイントが難航したため、昨年度のフォローなどをできる範囲で行った。アストゥリアス州は今年が本格的な現地調査となり、3月中旬まである程度の調査を実施できたものの、3月中旬に警戒体制が発令され外出制限が適用されたことから、資料整理と帰国準備以外は不可能となった。このような状態であったことから、令和元年度の研究の進捗状況はやや遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度には、令和元年度調査に続いて、事例となる州・市において一次資料収集、聞き取り、参与観察などに関する本調査を順次開始し、対象地域におけるワインツーリズムの空間的展開と地域への影響を確認する。ただし、スペインは新型コロナウイルス感染拡大によって大きな被害が出ており、今後の回復度合いや渡航可能性は不透明な状態である。今後は情報収集に努め、安全かつ柔軟な現地調査に努めたい。 また、令和元年度までに入手した先行研究、資料、データを整理し、事例分析を行うことを継続すると共に、研究枠組み、分析方法の充実と見直しを行う。また、引き続き研究結果の発表準備を進め、国内外の学会にて報告を行い、他の研究者の意見や批判を得て、学術論文として発表し、研究成果報告書の作成に反映させる。
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Causes of Carryover |
令和元年度は、科研費に加えて、所属大学の個人研究費などが使用可能であったため、所属大学の研究費をまず使用し、不足部分を科研費で補った。また、研究に使用する書籍・物品の多くはスペインの研究対象地域を一通り調査してから発注する予定であったところ、2回目のスペイン出張が令和元年度年春にずれ込んだため、関連する書籍・物品の発注や旅費の立替清算を令和元年度末~令和2年度に行うことにした。しかも、スペインにおける新型コロナウイルス感染拡大による混乱、更には日本への入国制限の影響を受け、予定の帰国フライトのキャンセルと大幅な時間変更が頻発し、さらに成田空港検疫での要請によって帰宅を中断して待機するなど、出張日程が狂ったことから、事後処理に労力を要した。 以上の理由によって未使用予算が発生している。未使用分は令和2年度度予算に繰り越し、旅費・書籍・物品費などとして有効利用する。 令和2年度は学内報奨制度が適用されず使用できる大学予算が限られること、また科研費予算が当初計画より減額され研究計画を縮小する可能性もあったところ、未使用予算を次年度予算に繰り入れることは予定していた研究遂行のために必要不可欠である。
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