2018 Fiscal Year Research-status Report
アクターネットワークセオリーを用いたデザイン理論構築:脱人間中心デザインへ向けて
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18K11972
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Research Institution | Nagoya University of Arts |
Principal Investigator |
水内 智英 名古屋芸術大学, 芸術学部, 准教授 (70724839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 雅子 愛知淑徳大学, 創造表現学部, 准教授 (20431976)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | デザイン方法論 / アクターネットワークセオリー / 地域コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、アクターネットワークセオリーをベースにしたデザイン方法論とその応用のための基礎理論を整理し、同時に実践メッソドの検討を行う期間と定めており、具体的には次のような活動を行った。 1.アクターネットワークセオリーへの基礎的理解を得た上で、デザイン理論への展開方法を検討するため、関連文献を選定しそれらを基に研究会を重ね、議論を深めた。加えて、行動心理学や社会学などの関連分野の専門家に対する対談形式でのインタビュー調査を行い、デザイン方法論としての展開可能性について多視点から検討を加えた。 2.実践メソッドの検討として必要となる、対象地域と対象課題の設定を行うため、候補として挙げられた地域に赴きフィールドワークを行い、必要に応じて、地方自治体関係者らとの打ち合わせを行なった。それらを通じて、次年度にメソッドの実践・検証を行う地域の選定と研究協力体制について確認することができた。 3.国内外でサービスデザインや、多様なアクターを考慮に入れたデザインワークショップを実施し、その成果を研究会に持ち寄り報告・検証することで、実践メソッドの検討を進めた。加えてデザイン論、メディア論、サービスデザイン等を扱う研究会に参加し、本研究に関係する理論と実践の現状を把握した。 研究推進に必要な関連基礎理論の理解、基礎的調査・準備は不可欠である。今年度に行なった一連の活動により、本研究の目的であるアクターネットワークセオリーを導入したデザインメソッドの開発とそれを支え得る基礎理論の構築に向けた準備を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.アクターネットワークセオリーへの基礎的な理解に加え、デザイン方法論との接続可能性を幅広く検討できたことで、計画通り今後の方法論構築へ向けてその端緒を得ることができた。ただし、脱人間中心主義の観点に立ったデザイン理論へと今後理論的に発展させるためには、更に次年度の実践・検証結果を踏まえ、議論と論考を深める必要がある。 2.実践メソッド試行の対象となる地域を定めることができ、次年度に実践・検証へと移行できる体制を整えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.これまで検討してきた、アクターネットワークセオリーをデザインリサーチへと展開するための方法論をベースにし、関係者と調整の上、実践的なアプローチを準備する。実際の地域の現場での実践を行い、その後に取り組みに対しての検証を行う予定である。 2.実践と検証の結果から、方法論を再検討し、その結果を踏まえ、国内での学会等で発表を行い多くの識者からのフィードバックを得る予定である。 3.実践とそのメソッドとしての有効性等の検証から、理論的な考察を深め、発展的に脱人間中心主義的な観点に立ったデザイン理論構築の可能性を更に検討する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 国内研究者へのインタビュー調査を、実際に行った件数よりも多く実施する可能性を見込んだ計画を平成30年度分として立てていたが、関連文献からの調査を中心に研究を進めることの方が、本研究に必要な基礎的理解に基づいた理論的・方法論的展開を得るためには重要であると考えるに至り、主にインタビュー調査に関わる出張旅費、謝金等の費用が、令和1年度に持ち越されることとなったため。 (使用計画) 令和1年度に計画されている、実践とその検証が、想定していたよりも規模が大きくなることが予想されており、それに伴い必要となってくる費用も増加することが想定される。主にそのための、物品費、人件費、旅費等として使用する計画である。
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Research Products
(6 results)