2020 Fiscal Year Annual Research Report
Biomechanical evaluation of the nuchal and yellow ligaments considering elastin components and development of a new treatment for the ossification of vertebral ligaments
Project/Area Number |
18K12046
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
山本 衛 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (00309270)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | バイオメカニクス / 靭帯 / エラスチン / 応力-ひずみ関係 / 伸展性評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
エラスチンを対象とした研究は,コラーゲンの場合と比べて遅れており,バイオメディカル分野への応用も今後の課題であると認識されている.本研究では、エラスチンを利用した生体材料の開発を最終目標とし,脊柱に存在する黄色靭帯組織の力学的特性を定量化するとともに,その特性を模倣したエラスチン含有材料の作製を試みた.前年度までの研究では,黄色靭帯のサイズや形状の問題から,組織の荷重-変位線図を求めることしかできなかった.今年度は,試験片の作成方法,断面積計測法,力学試験法を改良することで,サイズに依存しない材料特性として,応力-ひずみ関係を正確に求めることが可能となった.力学試験が実施できるように,日本白色家兎より摘出した黄色靭帯を成型し,何も手を加えないコントロール群,エラスターゼ溶液に浸漬したエラスターゼ群,コラゲナーゼ溶液に浸漬したコラゲナーゼ群に設定した.家兎黄色靭帯のコントロール群,エラスターゼ群,コラゲナーゼ群における引張強度は,それぞれ約1.3,0.7,1.2 MPaであり,エラスターゼ群での強度低下が顕著であり,コントロール群とコラゲナーゼ群の引張強度は同等であった.一方,3つの実験群における破断ひずみは,それぞれ約80,75,90%であり,実験群間に有意な相違はみられなかった.このように,酵素処理によってエラスチン成分を分解した靭帯に対して,応力やひずみと関連する材料特性を定量的に評価することができた.さらに,魚類動脈球より精製したエラスチン成分を含む材料の力学的特性を靭帯組織と同様の方法で計測した.その結果,エラスチン材料の引張強度と破断ひずみは,それぞれ目標値とする黄色靭帯の約58%と50%であった.現時点では靭帯組織の特性を完全には模倣できていないものの,オーダーが異なるということはなく,今後の改善によって強度や伸展性の向上が図れるものと考えている.
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Research Products
(3 results)