2019 Fiscal Year Annual Research Report
Environmental Thought in the Anthropocene: Critical Examination of the Post-Cartesian Monism
Project/Area Number |
18K12188
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
齋藤 幸平 大阪市立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (80803684)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 人新世 / 環境危機 / 物質代謝 / コミュニズム / マルクス / MEGA / コモン |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の課題は、カール・マルクスのエコロジカルな資本主義批判において用いられている「方法論的二元論」をベースにして、人新世の気候危機をめぐる諸言説をマルクス主義の立場から批判的に検討することであった。 マルクスの基本的な方法論は、『大洪水の前に マルクスと惑星の物質代謝』(堀之内出版)、ならびに国際ジャーナルHistorical Materialismで展開した。そのうえで、『未来への大分岐』(集英社新書)において、現代の環境危機に立ち向かうためには、私的所有や国家所有とも異なる〈コモン〉として自治的な管理が重要であることを示した。さらに、アーロン・バスターニのような「エコ近代主義」の技術依存の解決策が、民主主義を脅かすことを、『現代思想』掲載の論文「気候危機と資本の生産力」で論じた。 また、「ポスト・デカルト的一元論」が有効ではないということを、『現代思想』2020年1月号の篠原雅武氏との対談「ポスト資本主義と人新世」で主張した。同様の問題意識から、ブルーノ・ラトゥールやジェイソン・W・ムーアらの議論を批判するための足掛かりをルカーチの物質代謝論のうちに見出した。ロンドンで開催された学会「ヒストリカル・マテリアリズム」のドイッチャー記念賞受賞講演では、ルカーチ論としてこの成果を発表し、肯定的な反応を得ることができた。論文は近いうちにNew German Critique誌に掲載されることが決まっている。 そのほかにも、イタリア、ドイツ、オーストリア、南アフリカ、韓国、中国の様々な大学からも招待を受けた。それによって、今後も継続的に研究成果を国際的に発信し、新しい国際的共同プロジェクトを展開していくための基盤づくりを行うことができた。
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Research Products
(21 results)