2019 Fiscal Year Research-status Report
The British Charity Organisation Society's Philosophies of Charity and Casework
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18K12218
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
寺尾 範野 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授 (80735514)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 観念論哲学 / トマス・ヒル・グリーン / バーナード・ボザンケ / ヘレン・ボザンケ / 糸賀一雄 / イデオロギー研究 / 社会福祉思想 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、(1)T.H.グリーンのリベラリズムと社会福祉思想、(2)ボザンケ夫妻のイデオロギーと社会福祉思想、(3)知的障害をめぐるCOSと糸賀一雄の社会福祉思想の3点について、研究を進めた。 (1)については、2019年5月の政治思想学会での研究報告を論文にまとめた。同論文は、査読を経て政治思想学会発行『政治思想研究』第20号(2020年5月)に掲載された。 (2)については、2018年度の研究成果であるイデオロギー研究の手法を用いつつ、ボザンケ夫妻の社会福祉思想のイデオロギー的付置について分析を進めた。研究成果を2019年度日本イギリス哲学会の報告原稿にまとめた。(新型コロナウイルス問題に伴い同学会は中止となり、報告原稿の発表は2020年8月に延期となった。) (3)については、2019年度に得られた新たな研究視角である。2018年度に本科研費を用いて開催した国際ワークショップ以来、英国ハル大学のコリン・タイラー教授と、国際ジャーナル特集号の共同編集を進めている。その一環として、2019年度は、ドイツ観念論哲学の影響を受けた糸賀一雄の障害者福祉思想の研究を進めた。その中で、糸賀の思想と実践を知的障害をめぐるCOSのそれと比較するという、有益な研究視角を新たに得ることができた。2019年度は、糸賀の思想と実践についての報告を「観念論哲学研究会」で行い、ジャーナル特集号用の英語論文の執筆を進めた。今後は同英語論文の内容を、観念論哲学に基づく社会福祉思想の日英比較へとさらに発展させていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
T.H.グリーンのリベラリズムと社会福祉思想の関連についての有益な知見を得られたことで、ボザンケ夫妻のイデオロギーと社会福祉思想の関連を分析する際の視角を明確化できた。グリーン研究の成果については、査読付論文が政治思想学会の学会誌に掲載された。また日本の糸賀一雄の社会福祉思想についても研究を進めたことで、観念論哲学に基づく社会福祉思想の日英比較という有益な研究視角を新たに得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2020年度は、以下の3点に注力する。(1)ボザンケ夫妻の社会福祉思想のイデオロギー的位置について論文にまとめ、査読付学会誌に投稿する。(2)知的障害に関する世紀転換期のCOSの実践と思想について、C.S.ロックの議論を中心にまとめ、単著の一章に含める。(3)知的障害に関する糸賀一雄の社会福祉思想についてまとめ、国際学術誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
資料収集および国際共同研究打ち合わせのために予定したイギリス渡航(2020年3月)が、新型コロナウイルス問題によって中止となったため。当該助成金は、2020年度分として請求した助成金とあわせて、国際ジャーナル特集号用の英語校閲費や海外渡航費、書籍購入費等にあてる予定である。
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Research Products
(1 results)