2018 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the censorship of publications by GHQ/SCAP - in Kamakura BUnko's case
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18K12278
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
尾崎 名津子 弘前大学, 人文社会科学部, 講師 (10770125)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 検閲 / GHQ/SCAP / 出版 / 単行本 / 鎌倉文庫 / プランゲ文庫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、占領期の単行本検閲の実態解明である。そのために、占領期の新興出版社であり、関係者の証言が比較的多く確認できる出版社鎌倉文庫の活動に焦点を当てている。また、一次資料である単行本の徹底した調査を基盤に据え、検閲と文学の関係性を実証的に明らかにすることを目的としている。 本年度は研究計画に基づき、日本とアメリカの両国内に現存する鎌倉文庫の単行本を調査し、その結果を反映した目録の作成を進めた。その過程で、鎌倉文庫と占領軍との結びつきが窺える資料を複数発見した。 また、同じく研究計画に基づき、鎌倉文庫の刊行物、事業内容、編集方法に関する検討を、関係者の証言を改めて収集することで進めた。 アメリカ・メリーランド大学図書館プランゲ文庫における調査を、研究計画よりも1年前倒しで行った。当該の調査では、検閲の実務や書き手と編集者の推敲と編集作業の実態に関わる貴重な資料が多く発見され、大きな収穫となった。同時に、プランゲ文庫側でfragmentとして扱われていた複数の資料が何であるかを明らかにすることを通して、相互協力的な調査を展開できている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「おおむね」とした理由は以下の通りである。 ・研究計画に比して、国内機関における調査がやや遅れている。具体的には、日本近代文学館における調査が未了である。 ・上記の理由は、アメリカでの一次資料調査を1年前倒しで行ったことにある。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調に進展しており、今後も当初の計画の通りに研究を進める。令和元(平成31)年度は、成果の公開を始める年に当たっているが、総論を公表する前に研究ノートなどをこまめに発表し、個別の資料の価値付けや紹介を行う。 また、本年度の成果により、調査完了の見通しが立ったため、一次資料の博捜についてはそのまま展開することとする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、本年度に行う予定であった国内機関での調査のうち、日本近代文学館での調査が未了であり、その際のデータ収集に係る未使用額が生じたことに因る。 この分については翌年度分の計画に含まれる調査の経費として使用する計画である。
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