2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the censorship of publications by GHQ/SCAP - in Kamakura BUnko's case
Project/Area Number |
18K12278
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
尾崎 名津子 立教大学, 文学部, 准教授 (10770125)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 鎌倉文庫 / GHQ/SCAP / 検閲 / 内務省検閲 / プランゲ文庫 / 出版 / 北海道 / 坂口安吾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の成果は以下の通りである。①鎌倉文庫から出版された単行本を博捜し、とりわけ現物にあたることで実証性を担保しつつ、現時点で可能な限りの目録を作成、公表した。②占領期検閲のうち特に単行本検閲について、メリーランド大学図書館プランゲ文庫に現存する一次資料の、資料体としての傾向を把握した。つまり、文書の内容だけでなく、文書そのものの文書としての性質や特色を検討する方向での調査である。その結果、現存する資史料、文書類においては、それが作成された地域に一定の偏りがあることが判明した。具体的には、東京で作成された文書が多く現存することはもちろんだが、九州で作成された資料が相当数残っていることがわかった。これを踏まえて、その地域性に着目した新たな研究課題の展開を見た。③一次資料の調査の過程で発見した坂口安吾に関する資料について、占領期の文芸出版の実態解明の一助とするとともに作家の文学的営為のなかに位置付ける論考を発表した。④企業体として鎌倉文庫を捉えた際に、その経営が場当たり的であることは既存の研究が指摘してきた通りではあるが、それが経営者(作家)たちの資質に依存するのではなく、その時々の経済状況・社会状況に即応した結果であることが鮮明になった。特に、出版活動(図書の印刷・製本などの具体的な活動)を全て東京都内で行っていた段階から、横浜、北関東、北海道へと徐々に拠点を増やしていくことについては、鎌倉文庫だけでなく他の占領期の新興出版社の動静と比較しつつ相対的に評価、判断することが可能になった。
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