2021 Fiscal Year Annual Research Report
Critique of "Modernity" in Postwar Japanese Poetry: On the Cultural and Intellectual Context
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18K12291
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
田口 麻奈 明治大学, 文学部, 専任准教授 (80748707)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 神戸詩人事件 / 阪神モダニズム / 検閲と表現の自由 / 旧制姫高と戦後詩 / 中桐雅夫 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、引き続きcovid-19の影響により出張用務が困難であったが、本研究の期間内に計画していた国際学会での発表・質疑は無事におこなうことが出来た。まず、第16回ヨーロッパ日本研究協会(EAJS)は8月にオンラインで開催され、予定通り口頭発表をおこなった(発表題目:“Poetics After the Total War”)。戦中の日本の〈総力戦〉の経験がどのように詩的に形象されたかを「荒地」グループの詩を中心に考察する内容であり、参加者各位と議論を交わすことが出来た。 また、昨年度から企画に携わっていた雑誌の「荒地」特集(「〈荒地〉から考える」、『現代詩手帖』2021年8月)については、隣接領域に明るい研究者の協力を得ることで、多くの新知見を含む誌面を実現することが出来た。同特集では、申請者自身も、戦前の鮎川信夫と第一次「荒地」同人の間で交わされた書簡の翻刻・解題を担当しているほか、これまで現代詩批評を牽引してきた瀬尾育生氏(首都大学東京名誉教授)や、元『現代詩手帖』編集者の樋口良澄氏(関東学院大学客員教授)らとともに、研究・批評の現在をテーマに鼎談をおこなっている。 また初年度から継続的におこなってきた〈東大詩人サークル〉の機関誌の検証に関しては、研究成果の報告とともに資料の共有化をはかり、琥珀書房社主の山本捷馬氏と相談のうえ、復刻刊行に協力する準備を進めることが出来た。1950年代の新制東京大学においては、戦没学生をいかに記憶するかが大きな課題となっていた。その文脈をふまえ、次年度以降、復刻版の解題を執筆・公開する予定である。 そのほか、かねて本研究の成果として発表していた姫路のIOMグループの活動との関連性から、〈神戸詩人事件〉に関わるシンポジウム(於・姫路文学館、11月7日)に参加し、姫路にゆかりのある詩人や研究者各位と議論を共有する機会を得た。
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Research Products
(7 results)